いわゆる「三角分割(分社型分割)」に係る適格要件について|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
C社は、A社の100%子会社であるB社との間で、C社を分割法人、B社を分割承継法人とする分割を予定しています(A社、B社及びC社はいずれも株式会社です。)。
この分割は、C社に交付する分割対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角分割(分社型分割)」により行うことを予定しています。分割対価をB社株式とする通常の分社型分割の場合と「三角分割(分社型分割)」の場合とでは、適格分社型分割に該当するための要件に異なる点はあるのでしょうか。
【図】
【回答要旨】
分割対価は異なりますが、適格分社型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はありません。
(理由)
- 1 株式会社が行う分社型分割(法法2十二の十)が適格分社型分割に該当するためには、分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法法2十二の十一イ〜ハ。以下「支配関係別要件」といいます。)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法法2十二の十一柱書き。以下「共通要件」といいます。)を満たす必要があります。
このうち、共通要件は、分割対価資産として、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法法2十二の十一柱書き)、いわゆる「三角分割(分社型分割)」の場合には、の分割承継親法人株式以外の資産が交付されないことが要件となります。 - 2 これに対して、分割法人と分割承継法人との関係ごとに定められた要件(支配関係別要件)は、いわゆる「三角分割(分社型分割)」であるか、それ以外の分社型分割であるかにかかわらず定められた要件であり、いわゆる「三角分割(分社型分割)」であることをもって異なる要件が定められているわけではありません。
- 3 したがって、いわゆる「三角分割(分社型分割)」の場合には、分割対価が分割承継親法人株式に限られる点は異なりますが、いわゆる「三角分割(分社型分割)」とそれ以外の分社型分割との間で適格分社型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はありません。
- 4 参考までに適格分社型分割に該当するための要件を定めた規定は、次のとおりです(法法2十二の十、十二の十一、十二の十三)。
○ 法人税法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一〜十二の九 (省略)
十二の十 分社型分割 次に掲げる分割をいう。
- イ 分割の日において当該分割に係る分割対価資産が分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(分割対価資産が交付されるものに限る。)
- ロ 分割対価資産が交付されない分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該分割
十二の十一 適格分割 次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。
- イ その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割
- ロ その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
- (1) 当該分割により分割事業(分割法人の分割前に営む事業のうち、当該分割により分割承継法人において営まれることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該主要な資産及び負債が、当該分割により当該分割承継法人に移転し、当該適格合併により当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれていること。)。
- (2) 当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該相当する数の者が、当該分割後に当該分割承継法人の業務に従事し、当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること。)。
- (3) 当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人において引き続き営まれることが見込まれていること(当該分割後に当該分割承継法人を被合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当該分割事業が、当該分割後に当該分割承継法人において営まれ、当該適格合併後に当該適格合併に係る合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること。)。
- ハ その分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を営むための分割として政令で定めるもの
十二の十二 (省略)
十二の十三 適格分社型分割 分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。
(以降省略)
【関係法令通達】
法人税法第2条十二の十、十二の十一、十二の十三
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/33.htm
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