株式移転における特定役員継続要件の判定|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
支配関係のない法人間で行われる株式移転については、法人税法第2条第12号の17ハに規定する共同で事業を営むための株式移転の要件を満たすときは、適格株式移転に該当するとされています。
この共同で事業を営むための株式移転の要件(以下「共同事業要件」といいます。)の1つとして、次のいずれかを満たすことが必要となります(法令4の3二)。
- 1 株式移転完全子法人の子法人事業と他の株式移転完全子法人の他の子法人事業のそれぞれの売上金額、従業者の数若しくはこれらに準ずるものの規模の割合が、おおむね5倍を超えないこと(事業規模要件)。
- 2 株式移転完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式移転に伴って退任(当該株式移転に係る株式移転完全親法人の役員への就任に伴う退任等を除きます。)をするものでないこと(特定役員継続要件)。
当社(A社)がB社との間において検討している株式移転においては、A社の特定役員はいずれも退任しませんが、B社の特定役員(5人)のうち1人が当該株式移転に伴って退任(当該株式移転に係る株式移転完全親法人の役員への就任に伴う退任も見込まれません。)する見込みです。
このような場合には、特定役員継続要件を満たさないこととなりますか。
【回答要旨】
特定役員のうち1人でも当該株式移転に伴って退任する場合には、特定役員継続要件を満たしません。
(理由)
株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に支配関係がない場合に共同事業要件を満たせば、適格株式移転に該当することとなりますが、この共同事業要件の1つとして、事業規模要件又は特定役員継続要件のいずれかを満たすものであることが規定されています。
このうち特定役員継続要件とは、当該株式移転前の当該株式移転完全子法人若しくは他の株式移転完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式移転に伴って退任(当該株式移転に係る株式移転完全親法人の役員への就任に伴う退任等を除きます。)をするものでないことと規定されています(法令4の3二)。
この要件については、それぞれの株式移転完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式移転に伴って退任することでないことをその要件としていますので、特定役員のうち1人でも株式移転に伴って退任するような場合には要件を満たさないこととなります。
なお、株式移転に伴う退任であっても、その後、当該株式移転に係る株式移転完全親法人の役員への就任に伴う退任の場合には、特定役員継続要件を満たします。
ご照会の場合には、特定役員の中に当該株式移転に伴って退任する者がおり、その後、株式移転完全親法人の特定役員に就任するものでもないことからすれば、他の特定役員が退任しない(留任する)場合であっても、特定役員継続要件を満たさないことになります。
【関係法令通達】
法人税法第2条第12号の17ハ
法人税法施行令第4条の3第20項第2号
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/14.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 臨海工業地帯の赤松枯損被害に関する企業負担金
- 人工芝の耐用年数
- 経費補償金等の仮勘定経理の特例
- 税理士法人の社員に係る使用人兼務役員への該当性
- 仮決算中間申告における事業所税の未払金計上
- いわゆる「クロスボーダーの三角合併」により外国親法人株式の交付を受ける場合の課税関係
- 確定申告書の提出期限の延長特例法人に係る無申告加算税
- ゴルフ会員権の預託金の一部が返還された場合の取扱い
- 減価償却資産を事業の用に供した後に購入代価の値引きがあった場合の処理
- 配当権利落後の売却株式に係る受取配当金等
- 公益法人等が普通法人に移行した場合の法人税の取扱い(特例民法法人)
- 繰延資産の償却費として損金経理をした金額の意義等
- 第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ
- 法人税法施行令第119条第1項第4号に規定する「他の株主等に損害を及ぼすおそれがある場合」について
- 交際費等の範囲(接待を受けるためのタクシー代)
- 複数の土地と複数の土地とを交換した場合の圧縮記帳
- ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期
- 収益事業から非収益事業に係る指定寄附金として振り替えた場合の取扱いについて
- 過大役員給与の判定基準
- 合理的な整理計画又は再建計画とは
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。