新設合併の登記が遅れた場合の取扱いについて|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社とB社は、それぞれ各年4月1日から翌年3月31日までを事業年度とする法人です。今般、両社は、平成X年4月1日を合併期日として、新たにC社を設立する新設合併を行いました。なお、税務上、この新設合併は適格合併の要件を満たすものです。
この新設合併設立法人であるC社については、その設立の登記を平成X年4月1日に行うこととしていましたが、同日が日曜日であったため、登記所が閉庁されていました。そのため、翌日(月曜日)の4月2日に登記申請を行い、C社については、同日を設立の日とする登記がなされるとともに、被合併法人であるA社とB社も、同日を解散の日とする登記がなされたところです。
ところで、平成19年3月13日付で改正された法人税基本通達1−2−4《解散、継続又は合併の日》によれば、税務上の「合併の日」は、会社法の適用を受ける新設合併の場合は、新設合併設立法人の設立登記の日となっています。したがって、会社法上も税法上も被合併法人であるA社とB社は、平成X年4月1日には存続したままで、平成X年4月2日付でC社にその権利義務が承継され、解散されたこととなります。
この場合、被合併法人であるA社とB社は、平成X年4月1日の1日だけの事業年度が生ずることから、平成X−1年4月1日から平成X年3月31日までの事業年度に組んだ決算とは別に、平成X年4月1日の1日だけの事業年度の損益に係る決算を組み、その事業年度の確定申告書を提出しなければならないのでしょうか。登記申請が休日であったため、やむを得ず翌日提出しただけのものであり、従来の取扱いのように、新設合併設立法人の事業年度の損益に合算して申告することができないでしょうか。
【回答要旨】
貴社の場合、会社法上も税法上も、新たな事業年度が開始した平成X年4月1日には存続したままで、平成X年4月2日付で新設合併設立法人にその権利義務が承継され、解散されたこととなります。したがって、原則として、平成X年4月1日の1日だけの事業年度(すなわち、この事業年度が当該新設合併により解散した被合併法人の合併の日の前日を含む事業年度となります。)の損益に係る決算を組み、その事業年度に係る確定申告書を提出しなければなりません。
しかしながら、当初から平成X年4月1日に登記申請をしようとしながら、たまたま行政機関の休日であったため登記申請ができず、やむを得ず翌日に提出したような場合に、1日間又は2日間だけの損益を取り出し、通常の決算とは別の決算を組むということは、企業の決算実務に多大な事務負担を負わせることとなると考えられます。
そこで、上記のように平成X年4月1日の1日だけの事業年度が生じたような場合において、次の(1)から(3)までの要件を満たすときは、次の(2)に掲げる損益の帰属による確定申告書の提出が認められます。
- (1) 合併期日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条《行政機関の休日》に規定する休日に当たるため、その休日後の最初に執務が行われた日に新設合併の登記申請がされたこと
- (2) 当該新設合併により解散した被合併法人の合併の日の前日を含む事業年度の損益については、各被合併法人において新設合併設立法人に帰属する旨の合意がなされ、その旨を記載した書類の写しを各被合併法人の当該事業年度の確定申告書に添付すること
- (3) 当該新設合併が非適格合併に該当しないものであること
(注)
1 上記(2)に掲げる合意により新設合併設立法人に帰属することとなった損益については、新設合併設立法人の設立事業年度の損益に含めて申告することとなります。
2 非適格合併の場合には、被合併法人の合併の時の資産及び負債の時価による譲渡損益を認識した上で、当該譲渡損益に当該前日を含む事業年度の損益を含めて申告する必要があります。
【関係法令通達】
法人税基本通達1−2−4
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/10.htm
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