事業者がISO9000を取得するために審査登録機関に支払う手数料の税務上の取扱いについて|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
ISO9000を取得しようとする事業者は、(公財)A機構等の審査登録機関に申請を行い、審査登録機関は申請事業者がISO9000の規格を満たしているか否かを審査して、認証が相当と認められる場合には申請事業者にISO9000の認証を行います。その際に、事業者は審査登録機関に対して次のような手数料を支払うこととなります。
審査登録料金(申込料、基本設計料、予備審査料、登録料等)
登録後料金(サーベイランス料、更新審査料、登録維持料等)
ISO9000を取得するために要する上記及びの手数料については、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入して差し支えありませんか。
(注) ISO9000は、昭和62年に国際標準化機構(ISO)によって制定された、品質管理及び品質保証に関する一連の国際規格です。その取得は対外取引において好印象と安心感を与えることから、対外取引の上で有効な意義を有しています。
【回答要旨】
いずれの手数料も、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入して差し支えありません。
(理由)
1 ISO9000は法的な権利ではないので、工業所有権には該当しないこと、また、譲渡することができず、超過収益力を生ずるものではないので、営業権にも該当しないこと。
2 ISO9000を取得することは、事業者に品質システムが備わっていることを不特定多数の者に対して広告宣伝する効果を有していることから、その損金性が認められること。
3 損金算入時期については、次の理由からその支出の日の属する事業年度とするのが相当であると認められること。
(1) 審査登録料金
イ 支出によって得られる将来の広告宣伝の効果のためではなく、むしろ、現在の取引関係を維持するために、事業者は審査登録料金を支払っている面もあると考えられること。
ロ 次のことから、広告宣伝の効果がその支出の日以後数年に及ぶものとして、繰延資産として処理することは相当でないこと。
ISO9000の資格を保有し続けるためには、サーベイランス料、登録維持料等の費用負担が審査登録料金の支出後に求められること、また、一定の事由が生じる場合には審査登録証の停止、撤回及び取消しの措置がとられることから、審査登録料金の支出の効果がその支出の日以後数年に及ぶとはいいがたいこと。
審査登録料金の支出によって得られる広告宣伝の効果は、実態としては、ごく短期間のうちに失われるものもあると考えられること。
ハ 本件の支払手数料は、市場の開拓等のために「特別に支出する」ものではないので、法人税法施行令第14条第1項第3号((繰延資産の範囲))に掲げる開発費として処理することは相当でないこと。
(2) 登録後料金のうち、サーベイランス料、登録維持料等
取得後、毎年支払うサーベイランス料、登録維持料等は、認証を受けた事業者が、認証後もISO9000を引き続き保有するために支出するものであり、サーベイランス料、登録維持料等はISO9000の維持費用と考えられること。
(3) 登録後料金のうち、更新審査料
取得後、3年目に支払う更新審査料は、従前と同様の品質システムが備わっていることの認証を得るために支出するものであるので、審査登録料金と同様に考えられること。
【関係法令通達】
法人税法施行令第14条第1項第3号、第6号ホ
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/20/09.htm
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