ゴルフ会員権が分割された場合の取扱い|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
ゴルフ場経営会社である法人が預託金償還期限の延長につき会員の同意を得るため、預託金2,000万円の会員権を預託金1,000万円の会員権2口に分割する予定です。
この場合、法人が預託金の額面金額を上回る価額で取得していたときは、帳簿価額と新たな預託金の額面金額の合計額との差額を「償還損」として損金の額に算入することが認められますか。
【回答要旨】
ゴルフ会員権の分割後も会員は従来どおりゴルフ場施設を利用できることからすれば、会員権の分割は、既存の権利内容の変更(施設利用権の分割)がされたにすぎないので、分割により損益は生じないとみることが相当と考えられます。
(理由)
会員権の分割については、その性格を契約内容の変更とみるか、既存の契約の解除と新たな契約の締結とみるか、という2つの考え方があります。
この点については、ゴルフ会員権が表象するゴルフ場施設利用権、すなわち会員がゴルフ場施設を利用できるという局面においては、会員権の分割後も従来と何ら変わるところはないということからいえば、会員権の分割によって新たな権利義務関係が発生したとみることはできないと考えられます。
特に、預託金返還請求権についてみると、その潜在的・抽象的なものという性格や将来返還されることとなる金額の総額に何ら変更がないことから、この分割によって損益を生じさせることはできないと考えられます。
つまり、会員権の分割は、既存の権利内容の変更(施設利用権の分割であり、潜在している預託金返還請求権の総額に変更はありません。)がされたにすぎないと考えられ、分割により損益は生じないとみるべきです。
したがって、会員権の分割が行われた場合、預託金の額面金額を上回る価額で取得した会員権であっても、帳簿価額と新たな預託金の額面金額の合計額との差額を「償還損」として損金の額に算入することは認められません。
反対に、預託金の額面金額を下回る価額で取得した会員権は、帳簿価額と新たな預託金の額面金額の合計額との差額を「償還益」として益金の額に算入する必要はありません。
〔会員権の分割の例〕
額面2,000万円の会員権が、額面1,000万円の会員権2口に分割された。
【関係法令通達】
法人税法第22条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/20/06.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 株式の保有関係が変更している場合の青色欠損金額の引継ぎ
- いわゆる屋根貸し事業における環境関連投資促進税制(租税特別措置法第42条の5)の適用について
- 盗難により支払を受けた保険金に係る保険差益の圧縮記帳
- 事務処理の委託を受ける業の範囲(保険請求事務)
- 中小企業者等が取得をした医療機器の中小企業投資促進税制(租税特別措置法第42条の6)の適用について
- 結婚式場用資産の耐用年数
- 子会社等の合併・営業譲渡が予定されている再建計画の相当な理由の検討
- 適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る耐用年数
- 社会保険診療報酬の特例計算
- 貨車を倉庫等として使用する場合の耐用年数
- リボルビング方式の割賦販売に係る費用・収益の帰属時期
- 株式移転における特定役員継続要件の判定
- 社会保険料の損金算入時期について
- 特定調停において利息の棚上げが行われた場合
- 特定役員引継ぎ要件(みなし役員)の判定
- 資本関係がグループ内で完結している場合の完全支配関係について
- 試験研究費に含まれる人件費の範囲
- 繰延資産の償却費として損金経理をした金額の意義等
- 売買とされるPFI事業について(法人税の取扱い)
- 持株会社と事業会社が合併する場合の事業関連性の判定について
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。