保証機関による保証のある長期棚上げ債権に対する貸倒引当金の繰入れ|法人税
[保証機関による保証のある長期棚上げ債権に対する貸倒引当金の繰入れ]に関する質疑応答事例。
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
甲銀行は、融資先であるA社の経営状況が著しく悪化したことから、債権者集会の協議決定に従ってA社に対する貸付金の弁済期限を10年間延長することとしました。このため、甲銀行ではA社に対する貸付金について、法人税法施行令第96条第1項第1号による貸倒引当金(いわゆる長期棚上げ債権に係る貸倒引当金)の繰入れを検討しています。
ところで、A社に対する貸付金の一部については、保証機関による保証が付されていますが、法人税法施行令第96条第1項第1号による貸倒引当金の繰入限度額の算定に当たり控除することとされている「担保権の実行その他によりその取立て又は弁済の見込みがあると認められる部分の金額」には、保証機関による保証債務の履行による回収可能額は含まれないと解して差し支えありませんか。
【回答要旨】
照会意見のとおりに解して差し支えありません。
(理由)
- 1 内国法人(中小法人、銀行、保険会社等一定の法人に限ります。)である債権者がその事業年度終了の時において有する個別評価金銭債権につき、債務者について生じた次表に掲げる繰入事由に基づいてその弁済を猶予され、又は賦払により弁済される場合には、その事由が生じた日の属する事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までに弁済されることとなっている金額以外の金額(担保権の実行その他によりその取立て又は弁済の見込みがあると認められる部分の金額を除きます。)に達するまでの金額を貸倒引当金勘定に繰り入れることにより損金の額に算入することができます(法法52、法令96)。
繰入事由 イ 更生計画認可の決定(法令96一イ) ロ 再生計画認可の決定(法令96一ロ) ハ 特別清算に係る協定の認可の決定(法令96一ハ) ニ 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるもの(法令96一ニ、法規25の2) - 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
- 行政機関、金融機関その他第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がに準ずるもの
- 2 法人税法施行令第96条第1項第1号の貸倒引当金の繰入限度額の算定に当たり控除することとされている「担保権の実行その他によりその取立て又は弁済の見込みがあると認められる部分の金額」とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額をいい、保証契約に基づく金融機関又は保証機関による保証債務などのいわゆる人的保証の履行による回収可能額は含まれません。
- 3 したがって、甲銀行が行う法人税法施行令第96条第1項第1号による貸倒引当金の繰入限度額の算定に当たっては、保証機関による保証債務の履行による回収可能額を控除する必要はありません。
【関係法令通達】
法人税法第52条第1項
法人税法施行令第96条第1項第1号
法人税法施行規則第25条の2
法人税基本通達11−2−5
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/09/06.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 試験研究費に含まれる人件費の範囲
- 登録を要しない自動車の耐用年数
- 周波数移行に伴うソフトウェア修正費用の取扱い
- 収益事業から非収益事業に係る指定寄附金として振り替えた場合の取扱いについて
- 一般財団法人間の合併に対する適格判定における「事業関連性要件」の判定
- 圧縮記帳の対象となる交換の範囲
- 会計監査人設置会社において留保金課税制度の適用がある場合の留保金額の計算について
- 社会保険診療に係る経費の額(寄附金の損金不算入額)
- 少額の広告宣伝用資産の一時償却
- 保険代理業における預金利子等の帰属の時期
- 棚卸資産たる土地を譲渡担保に提供した場合の取扱い
- ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期
- 資本関係がグループ内で完結している場合の完全支配関係について
- 中間納付事業税の還付金
- 地方公共団体に対して中古資産であるパソコンを寄附した場合(2)
- 米国LLCに係る税務上の取扱い
- 換地処分の場合の圧縮記帳の経理等
- 講師給食費
- 債権放棄を受けた場合の法人税法第59条第2項の規定の適用の有無の検討(特定調停)
- 現物出資と金銭出資が同時に行われる場合の適格判定
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。