買換資産が分譲マンションの複数の専有部分(部屋)である場合の面積要件の判定|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
甲社は、所有する土地及び建物(いずれも10年超所有。)を一の契約に基づきA法人に一括して譲渡し、B法人が建設する分譲マンションの一部分(複数の専有部分)及びその敷地の共有持分(以下「敷地持分」といいます。)を一の契約に基づき一括して取得し、併せて事業の用に供する予定です(取得する専有部分の概要については次表のとおりです。)。
ところで、租税特別措置法第65条の7《特定の資産の買換えの場合の課税の特例》第1項の表の第9号下欄に買換資産として掲げられている国内にある土地等については、その面積が300以上であることが同条を適用する要件(以下「面積要件」といいます。)の一つとされています。甲社が取得する分譲マンションの敷地持分が面積要件を満たすかどうかの判定に際し、個々の専有部分に係る敷地持分ごとに判定した場合の面積は「300未満」となるものの、一の契約に基づき一括して取得する複数の専有部分(17戸)に係る敷地持分の面積の合計で判定した場合は「300以上」となることから、面積要件を満たすと解して差し支えありませんか。
なお、取得する分譲マンションは、住宅及び事務所として賃貸の用に供する予定です(全て特定施設に該当します。)。
フロア(用途)戸数 | 専有部分の面積 | 敷地持分の面積(注) |
---|---|---|
1階(事務所)5戸 | 46.00〜70.00 | 23.00〜35.00 |
2階(住宅) 6戸 | 34.00〜48.00 | 17.00〜24.00 |
3階(住宅) 6戸 | 34.00〜48.00 | 17.00〜24.00 |
計 17戸 (事務所5戸、住宅12戸) | 計 900.00 | 計 450.00 |
(注) 各戸の敷地持分の面積は、本件建物全体の敷地面積(1820.00)に、各戸の専有部分の面積の合計(3640.00)のうちに各戸の専有部分の面積が占める割合を乗じて計算している(例:1820.00×46.00/3640.00≒23.00)。
【回答要旨】
照会意見のとおりに解して差し支えありません。
(理由)
租税特別措置法第65条の7第1項の表の第9号の適用に当たり、買換資産が土地又は土地の上に存する権利(土地等)である場合には、次のからまでの要件をいずれも満たす必要があります。
- 国内にある土地等であること
- 特定施設(注)の敷地の用又は駐車場の用(一定のやむを得ない事情があるものに限ります。)に供されるものであること
- その面積が300以上であること(面積要件)
(注) 特定施設とは、事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設に該当するものを除きます。)をいいます。
なお、法人の取得した土地等が区分所有に係る特定施設の敷地の用に供されるものである場合には、次の算式により計算した面積を当該法人が取得した土地等の面積として面積要件の判定を行うことになります(措通65の7(1)−30の3(2))。
(算式)
ところで、租税特別措置法第65条の7第1項の表の第9号の適用上、特定施設に該当するかどうかは、その減価償却資産の用途により判定することとなりますので、分譲マンションのような区分所有建物については、その機能を発揮する最低単位(取引単位)である独立部分(専有部分)ごとに判定することになります。
このため、その専有部分の取得に伴い取得する敷地持分が面積要件を満たすかどうかについてもその専有部分ごとに判定することとなりますが、一の取引で複数の専有部分をまとめて取得し、それらが特定施設に該当する場合には、その複数の専有部分に係る敷地持分の面積の合計により判定することが相当と考えられます。
なお、複数の専有部分を取得した場合であっても、専有部分ごとに異なる取引をしたと認められる場合には、各専有部分に係る敷地持分ごとに判定することとなりますので、ご注意ください。
【関係法令通達】
租税特別措置法第65条の7
租税特別措置法施行令第39条の7
租税特別措置法関係通達(法人税編)65の7(1)−30の3
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/08/07.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 指定事業とその他の事業とに共通して使用される機械及び装置を取得した場合の震災特例法第17条の2の適用の可否
- 全国団体傘下の異なる組織(県団体)の構成員に対する災害見舞金に充てるための分担金に係る法人税法上の取扱いについて
- 当期において累積欠損金を抱えることとなる子会社に対する支援
- 所有する機械装置に資本的支出を行った場合の当該資本的支出に係る中小企業投資促進税制(措法42の6)の適用について
- 特定役員引継ぎ要件
- 連結法人間の寄附の取扱い(連結法人税の個別帰属額)
- 外国の地方公共団体が課す罰金について
- 合併が行われた場合の棚卸資産の評価方法(合併法人の評価方法に合わせる場合)
- 太陽光発電設備の系統連系に当たり支出するアクセス検討料について
- 繰延資産の償却費として損金経理をした金額の意義等
- 通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ
- 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由
- 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却の対象となる中小企業者の範囲
- 無対価合併に係る適格判定について(株主が個人である場合)
- 登録を要しない自動車の耐用年数
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67の5)の適用対象資産の範囲について(リース資産)
- 外国税額控除における国外所得の範囲
- 特定調停における法人債務者の法人税法上の留意点
- 支援者によって支援方法が異なる場合
- 定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。