みなし配当に係る日加租税条約の親子間配当の軽減税率の適用要件|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
内国法人A社は、自己株式の取得を事由として、カナダ法人である親会社に対し金銭を交付することになりました。その金銭のうち資本金等の額を超える部分については、みなし配当として源泉徴収を要することになりますが、日加租税条約第10条第2項(a)の親子間配当の軽減税率の適用要件を判定する際の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」はいつとすればよいでしょうか。
【回答要旨】
自己株式を取得した日の前日を「利得の分配に係る事業年度の終了の日」として保有期間要件を判定するのが相当です。
みなし配当についても日加租税条約第10条第2項に規定する親子間配当の軽減税率の適用対象になりますが(同条約第10条第3項)、その適用を受けるためには、「利得の分配に係る事業年度の終了の日」に先立つ6か月の期間を通じて、一定数の株式を所有すること(保有期間要件)が求められています。
みなし配当のうち法人の合併によるものは、その事業年度開始の日からその合併の前日までの期間を事業年度とみなすこととされているため(法人税法第14条第1項第2号)、そのみなし事業年度終了の日が「利得の分配に係る事業年度の終了の日」と解されます。一方、自己株式の取得の場合には、事業年度の終了という概念がありませんが、次のようなことから、自己株式を取得した日の前日を「利得の分配に係る事業年度の終了の日」として保有期間要件を判定するのが相当です。
1 期末配当については、通常、事業年度の終了の日(基準日)において株式を保有している者(株主)に対し支払われるものであり、自己株式の取得によるみなし配当は、自己株式の取得に応じた株主に対し金銭等が交付されるものであって、当該株主は、自己株式の取得が行われる直前まで株式を保有していること。
2 自己株式の取得に際して株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額(直前の事業年度における剰余金の額に一定の調整を加えた額)を限度とされているとともに(会社法第461条)、みなし配当の金額は、自己株式の取得の直前における資本金等の額及び株主等が有していた株式の数に基づいて計算することとされていること(所得税法施行令第61条第2項第4号)。
【関係法令通達】
所得税法第25条、所得税法施行令第61条、日加租税条約第10条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/06/59.htm
関連する質疑応答事例(源泉所得税)
- 非居住者に支払う翻訳料
- カナダ法人に支払う航空機の裸用機料
- 妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除
- 学生のアルバイト代
- 日米租税条約の親子会社要件における「配当の支払を受ける者が特定される日」の意義
- カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合
- アルバイトに支給する通勤手当の非課税限度額
- 手話通訳の報酬
- 年の中途で出国し非居住者となった者が後発的事由により帰国し居住者となった場合の年末調整
- 緊急業務のために出社する従業員に支給するタクシー代等
- 利子計算期間の中途で債券を取得した場合の租税条約における利子免税条項の適用関係について
- 障害者が2キロメートル未満を交通用具で通勤する場合の通勤手当の非課税限度額
- 日本の大学で教えていた米国人が帰国後に支払を受ける退職金に対する交換教授条項の適用
- 国内で使用する機械を米国法人から賃借した場合
- 居住者に支払う職務発明の対価
- ゴルフ大会の協賛者が提供するプロゴルファーの賞金
- 創業50周年を記念して従業員に支給した商品券
- 数か所に勤務する者に支給する通勤費
- 2以上の使用者から支払を受ける役員の出勤費用
- 地方自治法の規定により承認された「地縁による団体」の受け取る利子に対する課税関係
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。