所得税法第64条第1項に規定する資産の譲渡代金が回収不能となった事実は、後発的事由を理由とする更正の請求をした日の2か月以上前に生じており、更正の請求は認められないとした事例
[所得税法][所得計算の特例][交換の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/03/05 [所得税法][所得計算の特例][交換の特例] 請求人は、本件農地を譲渡した相手方であるHが本件覚書に基づく代替農地の提供を履行しないで行方不明になったことから、同人の所在及び所有財産の調査を行い、本件譲渡代金の一部が回収不能となった事実が生じたことを平成9年10月9日に確認したのであるから、更正の請求は、所得税法第152条で規定する期限内に提出されている旨主張する。
ところで、所得税法第64条第1項で規定する資産の譲渡代金の一部が回収不能となった事実が生じた日がいつであるかの判定は、客観的にみて当該譲渡に係る債権の回収の見込みがないことが確実となった日をもって判定すべきであるから、請求人の行った債務者の調査及び確認の作業が終了した日をもって、本件土地の譲渡代金が回収不能となった事実が生じた日に当たるとすることは相当でなく、本件にあっては、本件契約において請求人の本件譲渡に係る所得税はHが負担することになっていたのを平成9年4月25日に当該所得税を請求人自らが納付せざるを得なくなった段階で、請求人は、Hが請求人に対する債務を履行する資力がないと自認したものと認められるから、同日以前に回収見込みがないことが確実になったというべきである。
そうすると、本件の更正の請求は、本件譲渡代金の一部が回収不能となった事実が生じた日の翌日から二月を経過してなされたことは明らかであるから所得税法第152条の適用は認められない。
平成11年3月5日裁決
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