相続税更正処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第76号)|平成18(行コ)112
[相続税法][財産の評価]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成19年3月29日 [相続税法][財産の評価]判示事項
被相続人所有の土地を含む複数の土地の上に商業施設関連建物を建築してこれを同土地の所有者三名で共有し,うち一名が同土地及び同建物を専用使用し,被相続人を含むその余の敷地所有者がその使用権を放棄して,その対価として賃借料の支払を受ける旨の契約が締結されたが,相続開始時までに建築工事が完了せず,未だ前記建物が存在していなかった場合において,被相続人所有の前記土地を自用地として評価してされた相続税の更正処分の取消請求が,一部認容された事例裁判要旨
被相続人所有の土地を含む複数の土地の上に商業施設関連建物を建築してこれを同土地の所有者三名で共有し,うち一名が同土地及び同建物を専用使用し,被相続人を含むその余の敷地所有者がその使用権を放棄して,その対価として賃借料の支払を受ける旨の契約が締結されたが,相続開始時までに建築工事が完了せず,未だ前記建物が存在していなかった場合において,被相続人所有の前記土地を自用地として評価してされた相続税の更正処分の取消請求につき,相続税法22条にいう時価とは,相続開始時における当該財産の客観的交換価値をいうところ,課税実務上は,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56ほか国税庁長官通達)によって定められた相続財産の統一的な評価方法によることとされており,納税者間の公平や課税事務の迅速な処理等のため,上記評価方法によること自体は合理的であるから,原則として同通達に定める評価方法によって算出された財産の評価額をもって当該財産の時価と定めるのが相当であるが,同通達に基づいて算出された評価額が,相続開始時における当該財産の客観的交換価値を上回り,同通達に基づいて当該財産の評価を行うことが納税者間の公平等の見地に照らしても著しく不適法であるような特段の事情がある場合には,当該事情を主張,立証して相続税の課税処分の適法性を争うことが許されるとした上,被相続人所有の前記土地は,相続開始当時,前記契約の存在及びこれに基づく手続の履践により,前記建物の敷地の用に供されることが確定していたというべきであり,前記土地の利用は,経済的及び法律的に一定の制約を受ける状態にあったと認められるから,同土地については,地上家屋が現実に貸し付けられた貸家建付地と同視すべき状態にあったといえ,これを自用地として評価することは著しく不適法というべきであるから,同土地の評価においては,前記通達(平成11年7月19日付け課評2−12外による改正前)26にいう貸家建付地に準じ,自用地としての価額から前記契約の存在及びその利用による前記土地の利用に対する制約の内容,態様,程度等に相応する一定の価額を控除すべきであるとして,前記請求を一部認容した事例- 裁判所名
- 大阪高等裁判所
- 事件番号
- 平成18(行コ)112
- 事件名
- 相続税更正処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第76号)
- 裁判年月日
- 平成19年3月29日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 相続税更正処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第76号)|平成18(行コ)112
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価)
- 純資産価額の計算上、評価会社の資産・負債には、期限未到来のデリバティブ取引に係る債権・債務は計上できないとした事例
- 原処分庁が財産評価基本通達に基づき評価した土地の価額はその土地の時価を上回るとした事例
- 協業組合の出資の評価については、評価基本通達179を適用して評価することが相当とした事例
- 医療法人の出資持分の評価に際し、相続開始時点において既に退社した社員が出資金払戻請求権を行使していない場合であっても、当該出資持分については、当該退社社員が退社する直前の出資持分の総口数から当該退社社員が有していた出資持分の口数を控除した後の口数を総口数として、財産評価基本通達194−2の定めにより評価するものとした事例
- 評価対象会社の出資を純資産価額方式で評価するに当たり、当該会社が有する国外の土地に係る使用権を貸借対照表価額に基づき評価した事例
- 路線価は、1年間適用されることとされているため評価上の安全性等を考慮して、毎年1月1日現在の公示価格水準の価格の80パーセント程度で評定されているので、路線価を1月1日から相続開始日までの地価変動率により修正した価額をもって時価であるということはできないとされた事例
- 被相続人と請求人との間の土地の使用貸借契約は、宅地転用される前に解除されており、その後の土地の賃貸借契約における賃貸人は被相続人であるから、相続開始時には建物の所有を目的とする賃借権が存するものと認められるとして、借地権相当額を控除して評価するのが相当とした事例
- 相続により取得した建物の周囲にある緑化設備は、共同住宅の敷地内に設けられた構築物であるから、財産評価基本通達97の定めにより評価すべきであるとした事例
- 取引相場のない株式を純資産価額方式により評価する場合において、評価会社が負担した弔慰金については、相続財産とみなされず、実質上の二重課税とはならないので、負債に計上する必要はないとした事例
- 自動車教習所のコースとして貸し付けられている土地に係る賃借権の残存期間は、更新されることが明らかである場合には、更新によって延長されると見込まれる期間をも考慮すべきであるとした事例
- 評価対象地は、標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大とは認められないから広大地に該当しないとした事例
- 被相続人の所有に係る相続人の居住用家屋の敷地は、借地権の目的となっている土地ではなく自用地であるとした事例
- 相続税の申告期限前に同族法人に対する貸付金の一部が受贈益として確定しているからその部分について回収不能であるとする請求人の主張を排斥した事例
- 評価対象地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として有効に利用されていることから、「広大地」には当たらないとした事例
- 財産評価基本通達188の規定に基づき株主区分の判定を行うに当たり、発行済株式数から控除する株式は、同188−3及び同188−4に定める株式に限られず、むしろ同188の定めにおける発行済株式数に、議決権を有しないこととされる株式及び議決権のない株式は、当然に含まれないとした事例
- 請求人が主張する本件土地の売却価額及び鑑定評価額をもって、本件土地の価額について、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるとは認められないとした事例
- 贈与を受けた土地を贈与者に無償で使用させた場合のその土地の評価額は自用地の価額によるべきであるとした事例
- 取引相場のない株式の評価を純資産価額方式で行うに当たって、評価会社が土地収用に伴い取得した代替資産の価額は、圧縮記帳後の価額ではなく財産評価基本通達の定めにより評価した価額によるのが、また、評価会社が保有する上場会社が発行した非上場の優先株式の価額は、その上場会社の株式の価額ではなく払込価額により評価した価額によるのが相当であるとして、請求人の主張を排斥した事例
- 1. 請求人が土地の価額に影響を及ぼすと主張する諸要因は、路線価額に折込み済みであるとした事例2. 借地権の目的となっている宅地は、評価通達によって評価すべきであり、収受している地代を基にして収益還元法によって評価すべきでないとした事例
- 出資持分の定めのない医療法人への組織変更の準備中に相続が開始した場合の医療法人の出資について、財産評価基本通達の定めにより評価することが相当であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。