法人税更正処分等取消請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成16年(行ウ)第29号)|平成18(行コ)62
[法人税法][引当金][過少申告加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成19年1月18日 [法人税法][引当金][過少申告加算税]判示事項
債権者が,別会社に対して有する貸金債権について法人格否認の法理により債務者会社に対し不動産仮差押命令等を得ていた場合において,債務者会社が,当該貸金債務の遅延損害金を各事業年度の損金の額に算入してした法人税の申告について,前記損害金が当該事業年度終了の日までに確定していないとしてされた更正処分及び同処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分が,いずれも適法とされた事例裁判要旨
債権者が,別会社に対して有する貸金債権について法人格否認の法理により債務者会社に対し不動産仮差押命令等を得ていた場合において,債務者会社が,当該貸金債務の遅延損害金を各事業年度の損金の額に算入してした法人税の申告について,前記損害金が当該事業年度終了の日までに確定していないとしてされた更正処分及び同処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分について,各事業年度当時,前記損害金の基本債権である別会社への貸金債権につき法人格否認の法理が適用されて前記債務者会社も別会社と同一の債務を負うとして,前記貸金債権が前記債務者会社所有の不動産に対する仮差押命令によって保全されており,他方,前記債務者会社は,その本案訴訟において,法人格否認の法理により自社が前記貸金債務を負うことを争っていたところ,法人格否認の法理の適用は慎重になされるべきとされていることに加え,その適用要件は,いずれも法的評価を含む概念であって,さまざまな具体的事実から認定されるものであることを考えると,本案訴訟に先立つ仮差押命令において,疎明資料に基づき法人格否認の法理が認められたからといって,本案訴訟においても,同法理の適用が高い確率で認められるとはいえず,加えて,法人格否認の法理は,法人格否認を主張する相手方との間で相対的に認められるものにすぎないから,前記債務者会社が,その出損によって前記貸金債務を支払った場合には,前記債務者会社との関係では別人格である別会社に対する求償権を取得することになって,出損額の全体が前記債務者会社の損害とならないこともあり得るのであるから,民法の観点からして,各事業年度において,客観的に見て同社が前記損害金を負担しているかどうかが必ずしも明らかではなく,同社が最終的に負担すべき金額も確定していなかったというべきであり,また,法人税法22条3項2号は,法人の益金から控除される費用について,債務確定基準をとることを明らかにしているところ,そこにいう「債務の確定」とは,同法が,別途に引当金の規定を設け,限定された種類の引当金のみを損金に算入することを認めていることに照らすと,引当金の対象となる債務よりも,より確実に債務の存在及び金額が確定していることを意味していると解されるとした上,各事業年度当時において,前記損害金は,その存否においても,金額においても,その確実性に十分ならざるものがあったといわなければならないから,税法の観点からも,前記同号にいう「債務の確定しないもの」に当たると言わざるを得ないとして,前記各処分をいずれも適法とした事例- 裁判所名
- 大阪高等裁判所
- 事件番号
- 平成18(行コ)62
- 事件名
- 法人税更正処分等取消請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成16年(行ウ)第29号)
- 裁判年月日
- 平成19年1月18日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 法人税更正処分等取消請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成16年(行ウ)第29号)|平成18(行コ)62
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(法人税法>引当金>過少申告加算税)
- 加算税の賦課決定処分に当たり、その計算の基礎とした「更正処分により納付すべき税額」には、更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれ、当該税額の還付を受けたか否かを問わないとした事例
- 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
- 扶養控除額を過大に申告したことについて国税通則法第65条第2項に規定する正当な理由が認められないとした事例
- 租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないとした事例
- 法人税基本通達14−1−1の2ただし書が適用されると誤解して申告したことにつき国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」はないとした事例
- 更正があるべきことを予知してなされた申告ではないとして過少申告加算税を取り消した事例
- 法定申告期限内に原処分庁が還付申告に係る誤りを指摘しなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
- 調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものであると認定した事例
- 適正な申告を行えなかったことが、申告書の作成を依頼した税理士の過失に起因するとしても、国税通則法第65条第4項の「正当な理由」には該当しないとした事例
- 修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
- 還付を受けるための申告書を提出した者が更正を受けたときには、その者が消費税の課税事業者でない場合であっても、国税通則法第65条第1項にいう「納税者」に該当するとした事例
- 修正申告書の提出について、国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しないとして、これを排斥した事例
- 還付申告書の提出による還付金を受け取っていない場合であっても、修正申告により還付金の額に相当する税額が減少する場合は過少申告加算税賦課の対象になるとした事例
- 土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期について時効を援用した平成9年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
- 確定申告書の提出から1年経過後になされた過少申告加算税の賦課決定処分に不当はないと判断した事例
- 譲渡所得の金額の計算を誤ったのは、譲渡した土地は亡父が生前に事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を適用して取得した買換資産であることを知らなかったためであること、また、老後の生活のため売却したものであること等の事情を課税処分において考慮すべきであるとの請求人の主張には理由がないとした事例
- 公的年金等に係る雑所得の金額を算出するに際し、いわゆる「雑所得速算表」を誤認した結果、所得税の確定申告が過少申告となった場合において、誤認したのは請求人の過失によるものと認められ、また、原処分庁から指摘があれば訂正するつもりで法定申告期限前に申告書を郵送したところ、期限内に指摘されなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
- 社会福祉法人に土地を贈与し、国税庁長官に租税特別措置法第40条の規定に基づく承認申請をした場合において、これに対する不承認通知が所得税の法定申告期限までになかったことが国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に該当しないと判断した事例
- 申告もれの土地譲渡について具体的に指摘した来署依頼状の送付後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
- 贈与により取得した株式を株式発行会社の法人税の確定申告書に記載された所得金額等を基に評価したことにより贈与税の過少申告をしたことについて正当な理由はないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。