請求人の取引形態は、委託販売ではなく買戻条件付販売と認められるから、取引先への納入済み商品につき期末売掛金として当該事業年度の売上金額に加算することは相当である。また、これに伴い、前事業年度末の売掛金を認定し、売上金額から控除すべきであるとした事例
[法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1993/10/29 [法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度] 出版業を営む請求人は、売上げについて、法人税基本通達2−1−3の委託販売としての経理処理を継続的に行っているのであるから、委託販売による計算書未着分は売上げに計上する必要はないと主張する。
しかし、出版業において、通常、委託販売とよばれる取引は、出版社が取次店に対して見込み数量により出版物を送付し、取次店は売れ残り品を返品するという特約のある販売形態であり、基本通達にいう委託販売ではなく、買戻条件付販売である。
請求人の取引も、取次店との約定書等に照らし、買戻条件付販売と認められる。
なお、請求人は委託販売としての経理処理をしていない。
したがって、事業年度末における取引先への納入済み商品につき、期末売掛金として本件事業年度の売上金額に加算することは相当である。
請求人は、仮に買戻条件付売買であるとした場合、前事業年度末の売掛金残高を本件事業年度の売上金額から控除すべきであると主張するが、本件事業年度の売上金額を算定する場合には、年度中の入金額に年度末の売掛金の額を加算した金額から、前事業年度末の売掛金残高を控除すべきであると認められる。
これにより、所得金額を計算すると、その額は修正申告の額に満たないので、更正処分はその全部を取り消すべきである。(注)請求人の修正申告は、前事業年度末における取引先への納入済み商品を期末棚卸として減算していなかった。
平成5年10月29日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人の取引形態は、委託販売ではなく買戻条件付販売と認められるから、取引先への納入済み商品につき期末売掛金として当該事業年度の売上金額に加算することは相当である。また、これに伴い、前事業年度末の売掛金を認定し、売上金額から控除すべきであるとした事例
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