自動車共済契約に係る対人賠償共済金支払請求権の差押えが適法であるとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2003/10/09 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]請求人は、原処分庁が原処分を行うにつき何ら催告等をせず、請求人の財産調査もしない旨主張するが、差押処分を行うに当たって事前連絡や財産調査をしなければならない旨定めた法令の規定はなく、事前連絡や財産状況の調査をしなかったことをもって、原処分が違法、不当となるということはできない。
請求人は、原処分庁が差し押さえた共済金支払請求権以外にも求償債権を有していることから当該債権を差し押さえるべきであると主張するが、原処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号の規定に基づき適法に行われており、また、滞納者の所有する財産のうち、いかなる財産を差し押さえるかは、徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解されるところ、原処分が合理的な裁量の範囲を逸脱したものと認めるに足りる証拠はないから、本件差押処分を不当とすることはできない。
請求人は、原処分庁が差し押さえた自動車共済に係る対人賠償共済金支払請求権が差押禁止財産に当たる旨主張するが、当該請求権は、自動車損害賠償保障法第18条に定めるところの差押禁止財産である直接請求権には該当せず、また、国税徴収法第75条の一般の差押禁止財産ないし同法第78条の条件付差押禁止財産及び差押禁止財産を定めた他の法律のいずれにも該当しないことから、原処分は適法である。
請求人は、請求人の家族は生活保護を受けているから国税徴収法第153条第1項第2号に該当するので、滞納処分の執行を停止し、差押えを解除すべきである旨主張するが、請求人は、[1]相当程度の稼動能力を有していること、[2]取立てには困難性がうかがわれるものの約4,100万円の求償債権を有していること等を考慮すると、原処分庁が国税徴収法第1項第2号に基づく滞納処分の執行停止をしなかったことには裁量権の逸脱はないと認められるので、原処分が違法であるとはいえない。
平成15年10月9日裁決
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