債権の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2012/12/06 [租税特別措置法][登録免許税法の特例]《ポイント》 本事例は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権の帰属を、新設会社である請求人にあるとしたものである。
《要旨》 原処分庁は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権(本件債権)には、賃貸借契約において譲渡禁止の特約が定められている上、第三債務者は本件債権の承継について承諾していないことからすれば、本件債権は滞納法人に帰属する財産である旨主張する。
しかしながら、譲渡禁止特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合でも、債務者がその譲渡について承諾を与えたときは、当該債権譲渡は譲渡の時に遡って有効となると解されるところ、滞納法人は、第三債務者に対し本件債権を請求人に承継した旨の通知を行い、第三債務者は原処分庁の行った債権差押え(本件差押処分)より前に、本件債権が滞納法人から請求人に承継されたことについて書面による承諾をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件差押処分は本件債権の移転に劣後しているので、本件差押処分は請求人に帰属する財産に対してなされた違法な処分である。
《参照条文等》 国税徴収法第62条
《参考判決・裁決》 最高裁昭和52年3月17日第一小法廷判決(民集31巻2号308頁)
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