請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1998/02/26 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、[1]請求人所有の土地(以下「本件土地」という。)は滞納会社からの要請により購入したものであるが、通常の価額より高価で購入せざるを得なかったこと及び[2]共有建物(以下「本件建物」という。)にあった請求人の工場を閉鎖したことによる各損失の補てんを受けることを条件に滞納会社と共同での売却を承諾したものであり、当該損失補てんの額を売却代金の配分額に含めて受領したのであるから、合理的な理由があり、第二次納税義務を負うものではない旨主張する。
しかしながら、上記[1]については、本件土地を通常の価額より高額で購入せざるを得なかった理由が証拠上明らかでなく、また、仮に通常の価額より高額で取得した土地が売却時の通常の価額より高額で売却できなかったとしても、損失を被ったということはできないこと及び上記[2]については、利益が生じている工場を直ちに閉鎖することは通常の経済人の選ぶところではなく、また、売却前の年間利益の5年分の損失補てんを相当とする理由についての主張・立証もないことから、請求人の主張は採用することができない。さらに、請求人の代表者親子が請求人及び滞納会社の発行済株式又は出資金額の過半を占め、双方の役員を兼ね、滞納会社の代表者も請求人の役員を兼ねていたこと及び本件建物の増築が請求人の計算によりなされてきたことからみて、請求人と滞納会社とは独立の経済人として相対する状況にあったとは認められず、また、請求人が明確な根拠をもって上記損失の額を滞納会社に要求していたとは認められない。
したがって、請求人が配分を受けるべき金額は、本件土地の評価額及び本件建物の持分に応じた金額とするのが相当であり、それを超える金額について、請求人は滞納会社から無償による利益を受けたものと認められる。
平成10年2月26日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- 預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書の担保権者に対する引渡命令が適法であるとされた事例
- 個別対応方式における用途区分の方法に誤りがあったとしてされた更正の請求について、確定申告において採用した用途区分の方法に合理性がある場合には、国税通則法第23条第1項第1号の適用はないとした事例
- 本件出資口数の売買契約が錯誤により無効である旨を確認した判決があったとしても、そのことにより国税通則法第23条第2項第1号に該当することとなったとは認められないとした事例
- 居住の用に供していない譲渡物件の所在地に住民登録をしていた者が、納税相談時に担当職員に虚偽の申立てをする等し、申告書を作成させ提出したことは、隠ぺい又は仮装の行為に該当するとした事例
- 消費税の仕入税額控除の計算を一括比例配分方式で申告したものについて、更正の請求において、個別対応方式に変更することはできないとした事例
- 差押えによる国税の徴収権の時効の「中断の事由が終了した時」とは、差押処分に係る財産の換価手続が終了した時又は差押えが解除された時をいうものと解するのが相当であるとした事例
- 本件修正申告書は、請求人がその内容を十分認識して提出したものであり無効ではないとした事例
- 納税者と関与税理士との間において、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
- 共同して提出する申告書に署名した者又は記名された者に押印がない場合においては、その申告書がその提出時点において、署名した者又は記名された者の申告の意思に基づいて提出されたものと認められるか否かによって、押印のない者の申告の効力を判断すべきであるとした事例
- 更正があるべきことを予知してなされた申告ではないとして過少申告加算税を取り消した事例
- 処分理由の提示が争われた事例(平成22年11月相続開始に係る相続税の更正処分・棄却・平成27年9月28日裁決)
- 滞納者が受け取るべき信託受益権の譲渡代金の残余金等のうち、滞納者の債務を弁済した後に生じた余剰金は、実質的に滞納者から請求人に対する無償譲渡と認められるとした事例
- 還付を受けるための申告書を提出した者が更正を受けたときには、その者が消費税の課税事業者でない場合であっても、国税通則法第65条第1項にいう「納税者」に該当するとした事例
- 酒類を譲渡担保の目的財産とする譲渡担保設定契約が無効又は課税庁に対して相対的に無効ということはできないから、譲渡担保財産となっていた酒類が滞納者に帰属するとしてした差押処分は違法であり、したがって、当該差押処分に続く配当処分において滞納国税に配当された金額は、残余金として譲渡担保権者である請求人に交付すべきであるとした事例
- 既に差押えをして滞納国税を確保しているにもかかわらず、更に充当をすることは重複処分とはならないとした事例
- 充当処分は税務署長の裁量行為であり、納税者個々の生活状況に配慮して行う必要があるとの請求人の主張を排斥した事例
- 差押処分が超過差押え又は無益な差押えに該当しないとした事例
- 請求人について、売上げの減少や経費の増加の程度が著しいとは言い難く、利益については赤字の状態に陥ったとは認められないから、国税通則法第46条第2項第5号に規定する同項第4号に類する事実(事業についての著しい損失に類する事実)があったとは認められないとした事例
- 債権償却特別勘定の設定に関する税務署長の認定が相当期間なされなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
- 裁決により第二次納税義務の限度額の一部が取り消されることによって超過差押えになるとしても、審判所は差押処分を取り消すことはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。