差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあっても差押処分が無効であるということはできないとした事例
[国税徴収法][差押え][財産差押えの通則]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2001/12/19 [国税徴収法][差押え][財産差押えの通則] 請求人は、差押調書に記載された滞納税額に誤りがあるので、差押調書に瑕疵があり、瑕疵ある差押調書に基づいて行われた差押処分は無効である旨主張する。
しかしながら、数個の租税債権を差押債権として行われた差押処分は、各租税債権ごとに数個の差押処分が競合するものではなく、差押処分は1個であり、従って、原因となった租税債権の一部に数額の誤りがあっても、そのことによって、直ちに差押処分の効力が左右されるものではないと解されるところ、本件については、本件差押調書に記載された滞納国税の合計額は、その誤りが特に大きいとはいえないこと、及び滞納税額に誤りがなければ本件差押物件を差し押さえなかったであろう特段の事情があるとは認められないことからすれば、本件差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあったというだけで、本件差押処分が無効ということはできない。
平成13年12月19日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあっても差押処分が無効であるということはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税徴収法>差押え>財産差押えの通則)
- 価額弁済者も特段の事情のない限り、差押処分をした国に対し登記なくして対抗することができないことを明らかにした事例(不動産の各差押処分・棄却・平成26年2月19日裁決)
- 差し押さえた株券に係る権利が滞納者に帰属するとの推定を覆す事実は認められず、また、当該株券に係る権利の取得につき滞納者に悪意又は重過失があったことを認めるべき証拠もないとして、当該権利が自己に帰属する旨の請求人の主張を排斥した事例
- 請求人は、差し押さえられた債権に付されていた譲渡禁止特約につき悪意の譲受人と認められるから、滞納者から請求人への当該債権の譲渡は無効であり、当該債権が請求人に帰属することを前提に当該債権の差押処分の取消しを求める請求人の主張は、その前提を欠き採用できないとした事例
- 差押処分の取消しを求める理由として滞納処分の停止事由に該当する旨の請求人の主張を排斥した事例
- 差押不動産の売買契約における買主は滞納者であり、その購入資金である住宅ローンの返済は滞納者が行い、差押え前に請求人が差押不動産の共有持分を取得した事実は認められないことからすれば、差押不動産の取得に滞納者の妻であった請求人の協力、寄与が認められたとしても、差押不動産は夫婦共有財産ではなく、その所有権を有しているのは滞納者であるとした事例
- バブル崩壊による担保不足を請求人の責任として差押処分等をすることは不合理である等の請求人の主張が排斥された事例
- 課税処分の違法を理由として差押処分の取消しを求めることはできず、本件差押処分は超過差押えとはならないとした事例
- 滞納処分により債権差押えをする場合、全額差押えを原則としており、被差押債権の範囲を一部とするか否かは徴収職員の裁量に任されていて、その濫用が認められない限り、債権の全額差押えは違法とはいえないとした事例
- 申告相談時の事情や、事前に差押えをする旨の話がなかったことをもって分割納付継続中に行われた差押処分が違法又は不当であるとはいえないとした事例
- 不動産の差押処分が無益な差押えに当たるとした事例
- 債権譲渡は民法第467条第2項に規定する第三者対抗要件を具備しておらず、債権譲渡の効力を差押債権者である国に対して主張できないとされた事例
- 企業組合が理事会の承認を受けることなく退任理事に譲渡した協同組合の組合員の持分は企業組合の所有に帰するとしてした差押処分が適法であるとした事例
- 滞納会社の任意整理を受任した滞納会社代理人(弁護士)名義の預金が滞納会社に帰属するとした事例
- 自動車の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例
- 預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書の担保権者に対する引渡命令が適法であるとされた事例
- 相続財産について破産宣告がなされたとしても相続により承継した国税の納付義務は消滅しないとした事例
- 請求人は、原処分庁に対して、信義則上、請求人が滞納会社と別異の法人格であることを主張して被差押債権の帰属を争うことができないとした事例
- 債権の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例
- 裁決により第二次納税義務の限度額の一部が取り消されることによって超過差押えになるとしても、審判所は差押処分を取り消すことはできないとした事例
- 不動産に係る建築資金の負担割合により滞納者の共有持分を認定した上、その認定に基づいてした差押えは相当であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。