同族会社の判定の基礎となった株主が当該同族会社に無償で貸与していた不動産が、当該同族会社の事業の遂行に欠くことができない重要な財産に当たるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2009/11/13 [国税徴収法][第二次納税義務] 国税徴収法第37条の「事業の遂行上欠くことのできない重要な財産」の範囲は、その事業の形態によりその財産が納税者の事業の遂行上果す役割いかんにより定まるので、これを一律に定めることはできないが、同条の趣旨に照らせば、その財産がないものとした場合において、その事業の遂行ができなくなるか又はできないおそれがある状態になると認められる程度に当該財産と事業が密接な関連性を有していれば、当該財産は、その事業の遂行に欠くことができない重要な財産に当たると解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件滞納法人の事業は、もともと、自ら生産した原料鶏卵を自己の工場で液卵に加工してV社に販売するというものであったが、N社との取引を開始した後は、同社に原料鶏卵を卸す一方、同社から、原料鶏卵の重量に見合う液卵を、X社を介して仕入れ、V社に販売するようになったものであることが認められる。そうすると、原料鶏卵の生産と液卵の販売とは、別個独立の事業ではなく、相互に関連しており、鶏卵を取り扱う一体の事業であったというべきである。そして、本件各不動産が事業に供されていた期間はそれぞれ異なるものの、平成15年8月期及び平成16年8月期における原料鶏卵の売上げの90%以上は、N社に対するものであり、これらが本件各不動産から出荷されていることからすれば、本件各不動産がなければ、本件滞納法人は、上記事業を遂行できなくなるおそれがあったと認められるから、本件各不動産は、本件滞納法人の事業遂行上不可欠な重要財産に当たるというべきである。
平成21年11月13日裁決
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