隠ぺい、仮装行為を認定し、重加算税を賦課したことが適法と判断した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2000/08/30 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人は、本件売上金が計上漏れとなったのは、請求人の事務員が本件売上金を請求人会社の代表取締役からの借入金として誤って経理処理をしたことによる旨主張する。
しかしながら、(請求人の代表取締役名義の)個人預金口座に振り込まれた顧客からの売上代金をそれぞれ請求人貯金口座に振替入金しているが、平成8年1月18日に個人預金口座に入金された本件売上金は請求人の平成8年1月期の売上げに計上しないで、しかも、平成8年2月2日に請求人貯金口座に振替入金後、平成9年1月期において、これを請求人の代表取締役からの借入金として経理処理している。
このことは、請求人が本件売上金が個人預金口座に入金されたことを奇貨として、平成8年1月期においてこれを売上げから除外し、平成9年1月期において借入金に仮装して経理処理したものと解するのが相当である。
ところで、原処分は、請求人の平成10年1月期の修正申告により増加した所得金額を対象としているが、これは、請求人が、[1]平成8年1月期において本件売上金を売上げから除外し、[2]これに基づき、平成9年1月期以降に欠損金を過大に繰り越す確定申告書を提出し、[3]また、上記[1]の行為に基づき、平成10年1月期において、平成8年1月期から繰り越されてきた過大な欠損金を損金の額に算入して過少な所得金額の確定申告書を提出したのであるから、このことは、平成10年1月期において税額等の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺい又は仮装したところに基づき確定申告書を提出したということができる。
したがって、原処分庁が平成10年1月期を対象として重加算税の賦課決定をしたことは相当である。
平成12年8月30日裁決
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