相続回復請求権は実質的にみて被相続人の遺産であるから、和解の成立時に現に取得した相続回復請求権の範囲内で課税すべきである旨の請求人の主張を排斥した事例
[租税特別措置法][登録免許税法の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2006/07/06 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 請求人らは、相続回復請求権は実質的にみて被相続人の遺産であるから、請求人らが本件和解の成立時に現に取得した相続回復請求権の範囲内で課税すべきであって、本件和解の結果、回復できなかった相続回復請求権に相当する額について、相続税の課税標準等に異動が生じたといえるから、更正の請求を認めるべき旨主張する。
しかしながら、相続回復請求権の趣旨、請求人らの相続回復請求の訴えの内容からすれば、当該訴えは、相続人であった者(以下「僣称相続人」という。)が占有・管理している被相続人の遺産全部を請求人らに返還するよう求めたもので、遺産の帰属が争われているものではないこと、請求人らと僣称相続人との間の本件和解は、僣称相続人の資力等にかんがみ、相続回復請求権に基づいた和解金を超える請求権を和解期日以降放棄する旨のものであり、請求人らが相続開始時点に取得した相続財産を増減させるものでなく、単に相続回復請求権の一部を和解期日以降放棄したに過ぎない。そうすると、本件和解は、新たな権利関係等を創設する趣旨で行われたものと解するほかないから、これにより、請求人らが原処分庁に提出した相続税の申告書に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実関係にさかのぼって異動を来すものではないと認めるのが相当である。したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「和解」には該当しないというべきである。
平成18年7月6日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 相続回復請求権は実質的にみて被相続人の遺産であるから、和解の成立時に現に取得した相続回復請求権の範囲内で課税すべきである旨の請求人の主張を排斥した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- 残余財産の分配後に成立した国税が国税徴収法第34条第1項に規定する「法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税」に該当するとした事例
- 申告行為の無効は国税通則法第23条及び相続税法第32条の更正の請求の事由とすることはできないとした事例
- 本件相続税の申告に際し、当初から財産の過少に申告することを意図した上、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をしており、重加算税の賦課要件を満たすとした事例
- 主たる納税義務が存続する限り、第二次納税義務がこれと別個に独立して時効により消滅することはないとした事例
- 役務の提供等の完了前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行った行為は、事実を仮装したものと認めた事例(平23.2.1〜平24.1.31の事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分、平23.2.1〜平24.1.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・棄却、一部取消し・平成26年10月28日裁決)
- 課税処分の違法を理由として差押処分の取消しを求めることはできず、本件差押処分は超過差押えとはならないとした事例
- 国税還付金の振込通知は国税に関する法律に基づく処分に当たらないとした事例
- 滞納者が行った集合住宅の売却について、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に該当するとした事例
- 還付金等の充当処分が違法であるとの主張を排斥した事例
- 請求人の事業、取引の内容を詳細に認定した上で、関係者の供述の信用性の有無を判断し、隠ぺい・仮装の事実を認めた事例
- 滞納処分により債権差押えをする場合、全額差押えを原則としており、被差押債権の範囲を一部とするか否かは徴収職員の裁量に任されていて、その濫用が認められない限り、債権の全額差押えは違法とはいえないとした事例
- 分離長期譲渡所得等について、保証債務の履行のための譲渡に関する課税の特例を適用すべきであるとしてなされた更正の請求に対し、確定申告書にその旨の記載がなく、また、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があるとは認められないとして、当該特例を適用することはできないと判断した事例
- 法人税基本通達14−1−1の2ただし書が適用されると誤解して申告したことにつき国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」はないとした事例
- 源泉徴収に係る所得税の納税告知処分の違法性は滞納処分に承継されないとした事例
- 滞納会社が売上除外金から取締役に支出した金員は、社員総会において承認の決議を受けた損益計算書には計上されていないことから、職務執行の対価としての役員報酬には当たらず、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡に当たるとした事例
- 納税者の妻が提出した修正申告書は適法であるとした事例
- 公売不動産の見積価額を減額する改訂は適正であるとした事例
- 登録免許税及び不動産取得税を固定資産の取得価額に算入した会計処理の選択の誤りを理由とする更正の請求は認められないとした事例
- 相続財産の申告漏れの一部について、請求人がその存在を認識していたとまでは認められず、重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例
- 国税通則法第46条第2項第4号の「事業につき著しい損失を受けたこと」に該当する事実の有無は、一定期間における損益計算を行うことにより判定することが相当であり、生活費等を控除して利益金額を算定すべきとする請求人の主張は採用できないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。