請求人らは、相続回復請求権は実質的にみて被相続人の遺産であるから、請求人らが本件和解の成立時に現に取得した相続回復請求権の範囲内で課税すべきであって、本件和解の結果、回復できなかった相続回復請求権に相当する額について、相続税の課税標準等に異動が生じたといえるから、更正の請求を認めるべき旨主張する。
しかしながら、相続回復請求権の趣旨、請求人らの相続回復請求の訴えの内容からすれば、当該訴えは、相続人であった者(以下「僣称相続人」という。)が占有・管理している被相続人の遺産全部を請求人らに返還するよう求めたもので、遺産の帰属が争われているものではないこと、請求人らと僣称相続人との間の本件和解は、僣称相続人の資力等にかんがみ、相続回復請求権に基づいた和解金を超える請求権を和解期日以降放棄する旨のものであり、請求人らが相続開始時点に取得した相続財産を増減させるものでなく、単に相続回復請求権の一部を和解期日以降放棄したに過ぎない。そうすると、本件和解は、新たな権利関係等を創設する趣旨で行われたものと解するほかないから、これにより、請求人らが原処分庁に提出した相続税の申告書に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実関係にさかのぼって異動を来すものではないと認めるのが相当である。したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「和解」には該当しないというべきである。
平成18年7月6日裁決
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