申告後に改正された通達を根拠として法定の期限経過後になされた更正の請求は、不適法であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1981/03/03 [国税通則法][納付義務の確定][更正の請求]裁決事例集 No.21 - 1頁
原処分庁の申告指導により、昭和52年分の分離短期譲渡所得の金額について、譲渡資産の取得に要した借入金の利子を取得費に算入しないで確定申告をしたところ、その後の通達の改正により当該借入金利子は取得費に算入することに変更されたことに伴い、当該確定申告は過誤のあるものとなったが、その過誤につき請求人に何らの過失はなく、したがって、本件更正の請求は国税通則法第23条第2項の規定に基づく適法なものであるとすべきであり、仮に、当該更正の請求が期限後によるもので不適法であるとしても、原処分庁には申告の過誤を是正すべき職責があり、これをしないのは違法又は不当である旨の主張について、請求人の主張するような抽象的な基準の変更等の場合は、同項各号に規定するいずれの事由にも該当しないものと解されるから、当該更正の請求は不適法というべく、また、職権による更正を求めることは請求人の権利ではなく、これに応じない場合であってもそれが著しく正義公平に反するものでなければ、その不作為をもって直ちに違法とすることはできないものと解すべきであり、原処分庁が行った申告指導は、その当時においては、その解釈、取扱いは多数の判例によって支持されていたところであり、また、その後の改正による通達も、「今後処理するものからこれによることとする。」と定めており、それ以前の解釈、取扱いについては、それなりに正当なものであるとして肯定しているところであるから、原処分庁が職権による更正をしないとしても著しく正義公平に反する場合に該当せず、違法又は不当ではない。
昭和56年3月3日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 申告後に改正された通達を根拠として法定の期限経過後になされた更正の請求は、不適法であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税通則法>納付義務の確定>更正の請求)
- ゴルフ会員権を購入した者からの届出債権が破産債権として債権表に記載されたことは国税通則法第23条第2項第1号に該当するとしてなされた更正の請求につき、当該届出債権は不法行為に基づくものであるから、同号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」には該当しないとした事例
- 少額配当等に係る更正の請求は認められないとした事例
- 更正の請求で、住宅借入金等特別控除の適用を求めることはできないとした事例
- 納税義務に係る課税標準等又は税額等の基礎となる事実について判断されていない確定判決を理由とする更正の請求は認められないとした事例
- 社会福祉法人の理事が県等から不正受給した補助金の一部を当該法人からの賞与とした所得税の申告について、当該不正受給に係る刑事事件の判決の確定を理由として更正の請求をすることはできないとした事例
- 本件和解は、本件不動産の持分2分の1が被相続人の相続開始日にさかのぼって利害関係人に帰属することを認めたものと解する余地はなく、将来に向かって新たな権利関係等を創設する趣旨のものであることから、国税通則法第23条第2項第1号にいう「和解」に当たらないとした事例
- 土地の譲渡につき、当該土地の前所有者の買戻しの予約完結権を侵害したとして、損害賠償の訴えがあり、これを認める判決があっても、当該判決は、国税通則法第23条第2項に規定する「課税標準等又は税額等の基礎となった事実に関する訴えについての判決」には該当しないとした事例
- 申告行為の無効は国税通則法第23条及び相続税法第32条の更正の請求の事由とすることはできないとした事例
- 現金主義による所得計算の特例(所得税法第67条の2)を適用して事業所得の計算をした者が発生主義による所得計算と比較して税負担が不利益になるという理由による更正の請求をすることは認められないとした事例
- 相続税の確定申告書において、租税特別措置法第69条の3の適用を受けるために、いったん宅地を適法に選択した以上、後日、他の宅地への選択替えを求めて更正の請求をすることはできないとした事例
- 相続税の連帯納付義務を免れるためになされた遺産分割協議の合意解除は、後発的な更正の請求事由の一つである「やむを得ない事情によって解除」された場合には当たらないとした事例
- 消費税の仕入税額控除の計算を一括比例配分方式で申告したものについて、更正の請求において、個別対応方式に変更することはできないとした事例
- 判決理由中で認定された事実に基づいてなされた更正の請求について、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」には当たらないと判断した事例
- 相続により取得した財産に係る相続開始前における賃借権の取得時効の完成、賃借権の取得という事実が判決により後発的に確定した場合、当該判決は、取得時効の完成の確定という意味において、国税通則法第23条第2項1号にいう「判決」に当たり、当該事情は当該財産の評価上、しんしゃくすべきであるとした事例
- 還付申告書に係る更正の請求ができる期間は、法定申告期限から1年以内であるとした事例
- 法人税法犯則事件の判決は国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当しないとした事例
- 土地売買契約解約条項を含む訴訟上の和解は当該土地譲渡所得金額の計算に影響を及ぼさないとした事例
- 執行不能調書は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決等」には当たらないとした事例
- 報酬金額が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されているとして更正の請求を認めた事例
- 国税通則法第23条第2項第1号及び相続税法第32条第1号に定める更正の請求は、請求人にいずれか有利な規定を適用することはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。