10年以上居住の用に供していた家屋及びその敷地について、贈与を受けた直後に譲渡した場合には、租税特別措置法第35条の適用を受けることはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/06/24 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][居住用財産の譲渡所得の特別控除] 請求人は、譲渡したA建物を、10年以上にわたって生活の拠点としており、また、贈与により取得して所有者になった日から売買契約締結の日の前後を通じて5か月の間、居住の意思を持って居住の用に供していたところ、租税特別措置法第35条第1項には、所有期間及び居住期間についての定めはないから、A建物の所有者になってからの居住期間が短いとしても、A建物は、同項に規定する個人が居住の用に供している家屋に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第35条第1項に規定する個人がその居住の用に供している家屋に該当するというためには、当該家屋を所有者として居住する意思を持って、客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたことを要すると解すべきであるところ、請求人がA建物の所有者となる前の居住期間は、同項の適用を判断するに当たり考慮すべき事実とはならず、また、請求人がA建物の所有者となった日前にA土地建物の買主から諸条件の提示を受けて購入申込みを受諾していることからすれば、同受諾した日以降は、A土地建物は買主に譲渡されることが予定されていたものといえるから、請求人がA建物の所有者となった日以降において、請求人は、A建物を所有者として居住する意思を持って居住の用に供していたものとは認められない。
したがって、請求人がA建物に居住していた全期間について、A建物を租税特別措置法第35条第1項に規定する個人が居住の用に供している家屋であると認めることはできない。
《参照条文等》租税特別措置法第35条第1項
平成22年6月24日裁決
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