所得税更正処分等取消請求事件|平成6(行ウ)2
[税額控除][所得税法][推計課税][消費税法][仕入税額控除]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成12年7月13日 [税額控除][所得税法][推計課税][消費税法][仕入税額控除]判示事項
1 貨物運送業を営む者に対する所得税及び消費税の更正処分につき,推計の必要性があるとされた事例2 貨物運送業を営む者に対し推計課税の方法によってされた所得税の更正処分が,適法とされた事例
3 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう帳簿又は請求書等を「保存しない場合」に当たるとして,税務署長が同条1項による仕入税額控除を適用しないでした消費税の更正処分が,適法とされた事例
裁判要旨
1 貨物運送業を営む者に対する所得税及び消費税の更正処分につき,調査官が納税者と面接することができたのは前記調査官が調査のため最初に臨場してから約5か月経過後であること,その際にも納税者は帳簿書類等の提示を全くしようとしなかったこと,最終的に納税者から所得金額を確認するに足りる資料の提出は一切なく,かつ,納税者が税務調査に必ずしも十分な協力をしたものといえない状況の下においては,推計の必要性があるとされた事例2 貨物運送業を営む者に対し推計課税の方法によってされた所得税の更正処分につき,推計の必要性及び合理性が認められ,納税者の実額反証については,納税者が実額を主張して推計による課税を争う場合には,実額を主張する側において,当該年分におけるすべての収入及びこれに対応する支出の額を主張立証すべきであるとした上,前記納税者の主張する運送料,手数料,外注費及びその他の経費の額が,それぞれ係争に係る年度分の同人の事業に係るすべての収入及びこれに対応する支出であると認めるに足りないとして,前記処分を適法とした事例
3 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう帳簿又は請求書等を「保存しない場合」に当たるとして,税務署長が同条1項による仕入税額控除を適用しないでした消費税の更正処分につき,同項の「保存」とは事業者が帳簿等を所持又は保管していることをいうだけではなく,法令の規定する期間を通じて,法令の規定する場所において,税務職員の適法な税務調査によりその内容を確認することができる状態での保存を継続していることを意味するところ,通常は,税務調査等のために税務職員により帳簿等の適法な提示要求がされたにもかかわらず,納税者が正当な理由なくこれに応じなかった事実が主張立証されると,その当時において,法定の要件を満たした状態での帳簿等の保存がなかったことが推認されるとした上,税務職員が,税務調査において帳簿等の保存及び内容を確認するため,社会通念上相当な程度の努力をし,帳簿等の適法な提示要求をしたのに対し,納税者は,自己の仕事の都合を優先させるため,又は税務職員がした納税者の取引先等に対する反面調査に対する不満からこれに応じなかったものとみられ,提示拒否の正当な理由とは認められないことからすれば,税務調査の当時において,法定の要件を満たした状態での帳簿等の保存がなかったものと推認されるから,同項の帳簿等を「保存しない場合」に当たり,同条1項による仕入税控除額を適用することはできないとして,前記処分を適法とした事例
- 裁判所名
- 岐阜地方裁判所
- 事件番号
- 平成6(行ウ)2
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求事件
- 裁判年月日
- 平成12年7月13日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求事件|平成6(行ウ)2
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(税額控除>所得税法>推計課税>消費税法>仕入税額控除)
- 消費税の控除対象仕入税額の計算方式について、一括比例配分方式を選択して申告した後に、更正の請求により個別対応方式に変更することはできないとした事例
- 本件浜買いに係る取引実態は、消費税法施行令第49条第2項に規定する再生資源卸売業に準ずる課税仕入れの取引実態にないとした事例
- 請求人の営む事業は、消費税法施行令第57条第5項第4号に規定する第五種事業に該当するとした事例
- 事業者が販売したことによる自己の商品代金債権を信販会社に譲渡等することに伴い支払う手数料は、消費税法上の非課税取引に該当するとした事例
- 個別対応方式による仕入税額控除額の計算に当たり、一括仕入れの調剤薬品等の仕入れを共通売上対応分であるとした用途区分に区分誤りはなかったとした事例
- 簡易課税におけるみなし仕入率の適用に際し、歯科技工所は製造業ではなくサービス業に該当するとした事例
- 紳士服等の製造販売に係るフランチャイズチェーンに加盟して行う販売事業は、製造業(第三種事業)に該当するとした事例
- 簡易課税制度選択届出書の提出があり、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、本件課税期間については簡易課税制度を適用した更正処分等は適法であるとした事例
- 帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみであり、また、請求人は、本件調査の際に本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことから、帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当するとして、仕入税額控除の適用は認められないとした事例
- 請求人が、出向契約に基づいて支払った本件業務分担金は、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する「給与等を対価とする役務の提供によるもの」に該当するから、仕入税額控除の対象にはならないとした事例
- 軽油引取税の特別徴収義務者ではない者から軽油を引き取る者が支払う軽油引取税相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとした事例
- 店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例
- 請求人が行った建物のリース取引に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であると認定した事例(平22.9.1〜平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、平23.9.1〜平24.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し、却下、棄却、却下・平成26年12月10日裁決)
- 歯科技工を営む者が自ら原材料等を購入して、歯科補てつ物を製作し受注先に納入している場合の消費税の簡易課税制度における事業区分は、第四種事業(サ−ビス業)に該当するとした事例
- 既製服プレス加工業は、日本標準産業分類五十音索引表の「プレス仕上げ業(既製服などの仕上げ工程として行うもの)」(大分類L−サービス業)と同一の事業を意味するものと認められることからサービス業に該当し、簡易課税制度における事業区分は第五種事業であるとした事例
- いわゆる個別対応方式により課税仕入れに係る消費税額を計算する場合における「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」及び「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」の区分は個々の課税仕入れについて行う必要があるとした事例
- 請求人の行っている事業は、第三種事業に該当するものではなく、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であり、第四種事業に該当するとした事例
- 真実の仕入先の名称等が記載されていない帳簿等は消費税法第30条第7項に規定する帳簿保存要件を満たす帳簿等には該当しないから、これに係る消費税の仕入税額控除は認められないとした事例
- 請求人の行っている業務は、会計処理業務であり、帳票類を販売する業務ではないとして、簡易課税制度の適用上、卸売業に該当しないとした事例
- 米軍基地内における資産の譲渡等は非課税取引に該当するとした事例(平22.5.1〜平24.4.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年5月8日裁決)
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。