評価対象会社の出資を純資産価額方式で評価するに当たり、当該会社が有する国外の土地に係る使用権を貸借対照表価額に基づき評価した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/12/01 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利] 本件取引相場のない株式(出資)の評価上、その発行法人(以下「評価会社」という。)が保有する本件土地使用権は、P国の土地○○法及び都市○○法の規定に基づき、評価会社の権益を保護するため、登記されたものと認められる。そして、土地○○法第○条は、法に従って登記された土地使用権は、法律の保護を受ける侵害できない権利である旨規定し、また、都市○○法第○条は、土地使用者が土地使用権の上に存する不動産を譲渡し、抵当に供する場合は、当該土地使用権を同時に譲渡し、又は抵当に供する旨規定していることからすれば、本件土地使用権は、譲渡及び抵当権の設定が可能な財産であると認められ、また、評価会社により工業用地として現に有効に利用されている。したがって、本件土地使用権は財産価値があると認められる。
そして、財産評価基本通達は土地の上に存する権利の評価方法について、いずれもその権利が設定されている土地の自用地の価額を基に評価する旨定めているものの、本件土地使用権に係る自用地の価額を明らかにすることができないから、これによることができず、さらに、土地使用権に係る売買実例価額、精通者意見価格等についても明らかにすることができないので、当該土地使用権の取得価額を基にP国における土地使用権の価格動向に基づき時点修正をして求めた価額により評価することとなるが、P国における土地使用権の価格動向については把握することができないことから、本件土地使用権の相続税評価額は、その取得時における時価を表していると認められる取得価額を基に時点修正して求めた価額、すなわち使用期間に応じて減価させた金額によることが相当である。評価会社の本件直前期末の貸借対照表に記載された土地使用権の金額は、その取得価額を基に使用期間に応ずる減価を反映したものとなっており、加えて、本件直前期末から本件受贈日までの間は6か月に満たないことから、評価会社の本件直前期末の貸借対照表に記載された土地使用権の金額を本件受贈日における相続税評価額とみても、これを不合理とする特段の事情は認められない。
平成20年12月1日裁決
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