類似業種比準方式における1株当たりの利益金額の計算上、匿名組合契約に係る分配金は非経常的な利益ではないから法人税の課税所得金額から控除すべきではないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/06/26 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利] 類似業種比準方式における、匿名組合員である評価会社の「1株当たりの年利益金額」については、評価通達が、「1株当たりの年利益金額」の計算を法人税の課税所得金額を基礎としていることについては合理性があること、法人税の取扱いでは、匿名組合員が分配を受ける匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額は、匿名組合の営業者の計算期間の末日の属する匿名組合員の各事業年度の益金の額又は損金の額に算入されること、匿名組合から分配を受ける損益は、匿名組合契約が継続する限り毎期発生することが予定されており、臨時偶発的に発生するものではないことからすると、「1株当たりの年利益金額」を計算する上で、匿名組合契約に係る損益の額を非経常的な損益として除外すべき理由は認められない。
そして、本件事業は航空機リース事業であって、本件A匿名組合契約に係る損益が、最終計算期間以外の計算期間については航空機の賃貸による損益であり、最終計算期間における分配金については、賃貸物件である航空機の売却による収益を含むというように、計算期間によって損益の発生の源泉が異なるという性質を持っているとしても、このようなリース事業は、リース物件の売却によってはじめて契約期間を通した収支が確定するものであり、そもそもリース物件の所有、賃貸及び売却が一体となった事業である。つまり航空機の売却は、K社をその優先的売却先として本件A匿名組合契約の締結時に予定されていたものであるから、一般的な固定資産の売却とは異なり、当該航空機の売却が臨時偶発的なものとは言い難い。また、本件A匿名組合契約に係る最終分配金額は、航空機の賃貸による収益と航空機の売却による収益という収益の発生の源泉が異なる部分により構成されているとしても、本件会社にとって匿名組合契約に係る出資に対する利益の分配という性格が異なるわけではないから、その利益の一部を取り出して非経常的な利益と判断すべき理由は認められない。
平成20年6月26日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 類似業種比準方式における1株当たりの利益金額の計算上、匿名組合契約に係る分配金は非経常的な利益ではないから法人税の課税所得金額から控除すべきではないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)
- 土地区画整理事業地内の評価対象地につき、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、財産評価基本通達24−4(広大地の評価)の適用はないとした事例
- 貸付金債権につきその回収が不可能又は著しく困難と見込まれる事実は認められないのでその元本価額で評価すべきとした事例
- 取引相場のない株式につき発行会社との間で譲渡価額を額面価額による旨を誓約している場合において、額面価額による評価は採用できないとした事例
- 取引相場のない株式の相続税の評価額について、特定の上場会社を比準会社として計算した評価額は採用できないとした事例
- 農地法施行前に設定されていた農地の賃借権について、賃貸借の効力が生じており、農地法第20条《農地又は採草牧草地の賃借権の解約等の制限》第1項の規定の適用があるから、財産評価基本通達9の(7)の耕作権に該当するとした事例
- 相続土地に係る賃借関係の実態は使用貸借と解するのが相当であると認定し、また、相続財産を売却して弁済に充てることを予定している被相続人の保証債務は相続税の債務控除の対象にならないとした事例
- 青空駐車場として貸し付けられている雑種地の価額の評価上控除すべき賃借権の価額について、その賃借権が登記されたものではなく、その設定の対価として権利金の授受もないことから、その自用地価額に、残存期間に応ずる相続税法第23条に規定する地上権割合の2分の1に相当する割合を適用して評価した事例
- 相続により取得した第一種市街地再開発事業に係る施設建築物の一部の給付を受ける権利の価額は、権利変換計画において決定された変換を受けることとなる施設建築物の一部の価額の70%に相当する金額と認めるのが相当とした事例
- 貸宅地の評価においては、一般に借地権価額控除方式には合理性があり、また、請求人らが採用した収益還元方式の「純収益」や「還元率」は標準化されたものとは認められないとして、請求人らの主張する評価方式を排斥した事例
- 出資持分の定めのない医療法人への組織変更の準備中に相続が開始した場合の医療法人の出資について、財産評価基本通達の定めにより評価することが相当であるとした事例
- 贈与財産である取引相場のない株式を純資産価額方式で評価する場合において、当該株式の発行法人が有する営業権の価額は財産評価基本通達の規定により評価することが相当であるとした事例
- 定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
- 傾斜度が30度を超える土地であることから財産評価基本通達に定める方式ではなく個別評価が相当である旨の主張を認めた事例
- 取引相場のない株式の発行会社と店頭登録株式の発行会社との合併等の契約締結後、それぞれの期日までの間に課税時期がある場合において、取引相場のない株式についての評価額は、店頭登録株式の取引価格を合併比率等により調整した価額ではなく、財産評価基本通達に基づき評価した価額によるべきであるとした事例
- 貸付金債権の評価につき、その会社の資産状況及び営業状況等が破たんしていることが明白かつ債権の回収の見込みのないことが客観的に確実であるといい得る状況にあったとは認められないから、その一部を回収不能として減額することは認められないとした事例
- 相続により取得した建物の周囲にある緑化設備は、共同住宅の敷地内に設けられた構築物であるから、財産評価基本通達97の定めにより評価すべきであるとした事例
- 代償債権の評価に当たり、その一部は、回収が著しく困難であると認定した事例
- 親子間で使用貸借した土地の相続税評価額は自用地としての価額によるべきであるとした事例
- 戸建住宅の敷地として分譲開発した場合に公共公益的施設用地の負担は必要ないことから広大地には該当しないとした事例
- 被相続人の所有に係る相続人の居住用家屋の敷地は、借地権の目的となっている土地ではなく自用地であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。