法人の税額控除(研究開発)で節税
法人の税額控除(研究開発)で節税する。試験研究費や中小企業技術基盤強化税制に関する税額控除について。

権利関係が錯綜した貸宅地の評価について、財産評価基本通達によらず原処分庁側の鑑定評価額によることが合理的であるとした事例

[相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2005/07/07 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]

裁決事例集 No.70 - 272頁

 請求人らは、本件貸宅地については、財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)に基づき算定した評価額は時価を超えている状態にあることから、評価通達によらず、他の合理的な方法に基づき時価を算定すべきであり、具体的には、R不動産鑑定士の鑑定評価額(以下「請求人ら鑑定額」という。)が時価である旨主張する。一方、原処分庁は、道路の用に供されている部分のある6区画については、L不動産鑑定士らの鑑定評価額(以下「原処分庁鑑定額」という。)を基としてその道路部分の鑑定額を補正した金額(以下「原処分庁評価額」という。)が、それ以外の2区画については原処分庁鑑定額が時価である旨主張する。
 しかしながら、時価とは、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解されるところ、課税実務上、土地等の評価については、評価通達に定められた画一的な評価方法が採用されているが、これは、個別に評価する方法を採ると、その評価方式、基礎資料の選択の仕方等により、評価額に格差が生じることを避けがたく、また、課税庁の事務負担が重くなり、回帰的かつ大量に発生する課税事務の迅速な処理が困難となるおそれがあることなどから、課税の適正や納税者間の公平を図ることが合理的であるという理由によるものと解される。
 ただし、評価通達に基づき算定された土地等の評価額が、客観的交換価値を上回るなど、評価通達に基づき評価することが著しく不適当と認められる特別な事情がある場合には、評価通達に基づく評価方法によらず、その他の合理的な評価方法により評価することができると解される。
 本件貸宅地の評価額については、評価通達に基づき算定した評価額が、請求人ら鑑定額及び原処分庁評価額・原処分庁鑑定額のいずれをも上回っていることから、これらの鑑定額等について検討したところ、次のとおりである。(1)請求人ら鑑定額 請求人ら鑑定額は、年間支払賃料を還元利回りで還元して算定した地代徴収権の価値と、更地価格を割引率で割り引いて算定した更地の復帰価値との合計額から、市場性の減退等を理由とした減額をして、底地価格を決定している。
 しかしながら、地代の還元利回りと更地への復帰価値を算定するための割引率とは異なる性質のものであるにもかかわらず、特段の理由もなく同一の利率を採用していることから、その利率は適切なものとは認められない。また、更地の復帰価値の基準となる更地価格の決定に当たって、鑑定評価を行う場合に規準としなければならないとされている地価公示価格を、数値の具体的な算定根拠が明らかでない個別格差を乗じて調整しているなど、その更地価格は合理性が認められない。更に、市場性の減退を理由とした減額にも具体的な根拠が示されていない。
 以上のことから、請求人ら鑑定額は採用することはできない。(2)原処分庁評価額・原処分庁鑑定額 原処分庁鑑定額における底地価格の決定は、還元利回り、割引率、更地価格とも相当であり、請求人ら鑑定額に比べ合理性が認められる。
 しかしながら、原処分庁評価額は、原処分庁鑑定額において判定された道路部分の価値率10%を、評価通達の定めを準用して0%に置き換え、同鑑定額を補正して算定しているが、評価通達によらず不動産鑑定評価基準により評価するものであるから、単に、評価通達における取扱いを根拠として、当該価値率を0%とすることは相当とは認められない。道路部分の価値率は、原処分庁鑑定額が採用した10%とするのが相当である。
国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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