不整形地の評価をするに当たって原処分庁が採用した想定方法による整形地は財産評価基本通達20に定める想定整形地に当たらないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2012/10/10 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]《ポイント》 本事例は、財産評価基本通達20の解釈等及び屈折路に内接する不整形地に係る想定整形地のとり方を、それぞれ初めて明らかにしたものである。
《要旨》 原処分庁は、屈折路に内接する本件土地について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》(本件通達)に定める評価をするに当たって、整形地の想定方法として、本件土地の全域を含むく形のうち最も面積の小さいものとすべきであり、原処分庁の採用した想定方法はこれに該当するものである旨主張する。
本件通達の趣旨は、評価対象地が不整形の場合はその画地全部を宅地として十分に機能させることができず、整形地に比して利用価値が減少することを考慮して、利用価値が減少していると認められる範囲で補正するというものであり、この趣旨からすれば、整形地の想定方法が複数ある場合には、その想定方法自体が不合理なものでない限り、その想定されたもののうち、最も小さい面積のものを想定整形地として評価するのが合理的である。
しかしながら、本件土地についてみると、本件通達に定める想定整形地とは、評価対象地の画地全域を囲む正面路線に面する最小面積のく形となっているものをいうことからすると、請求人らの主張する想定整形地のとり方に不合理な点は認められないが、原処分庁の主張する想定整形地は、正面路線に面したく形ではないことから、本件通達に定める想定整形地そのものには当たらない。したがって、本件土地の整形地の想定方法は、請求人らの主張する方法によるべきである。
《参照条文等》 相続税法第22条 財産評価基本通達20
《参考判決・裁決》 仙台高裁平成19年1月26日判決(税資257号順号10617)
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 不整形地の評価をするに当たって原処分庁が採用した想定方法による整形地は財産評価基本通達20に定める想定整形地に当たらないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)
- 評価対象地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として有効に利用されていることから、「広大地」には当たらないとした事例
- 相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例(平成24年分贈与税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成27年3月25日裁決)
- 土地区画整理事業地内の評価対象地につき、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、財産評価基本通達24−4(広大地の評価)の適用はないとした事例
- 貸し付けている墓地用地の相続税評価額について、残存期間が50年を超える地上権が設定されている土地の評価に準じて評価した事例
- 出資額限度法人の出資持分の価額は、財産評価基本通達による評価額によるべきであるとした事例
- 相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例
- 私道の評価において、一方が行き止まりのいわゆる袋小路であるにもかかわらず、不特定多数の者が通行の用に供されているとした鑑定評価額は採用できず、財産評価基本通達に定める評価額が適当であるとした事例
- 鉄道用地下トンネルを埋設するための区分地上権は相続税法第23条に規定する地上権には含まれないとした事例
- 権利関係が錯綜した貸宅地の評価について、財産評価基本通達によらず原処分庁側の鑑定評価額によることが合理的であるとした事例
- 本件家屋に賃借人が住んでおらず、家賃が未払等であっても、賃貸借契約は継続していると認められることから、本件家屋は貸家として評価すべきであるとした事例
- 周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例
- 相続土地に係る賃借関係の実態は使用貸借と解するのが相当であると認定し、また、相続財産を売却して弁済に充てることを予定している被相続人の保証債務は相続税の債務控除の対象にならないとした事例
- 被相続人が生前立退料を支払うなどして借家人を立ち退かせた上、その貸家用の家屋を取り壊し、その敷地に貸家用の家屋を建築中である場合において相続が開始したときのその敷地について、貸家建付地としてではなく、自用地として評価すべきであるとした事例
- 財産評価基本通達24−4《広大地の評価》に定める「その地域における標準的な宅地の地積」については、河川や山などの自然的状況、行政区域、都市計画法による土地利用の規制など公法上の規制等、道路、鉄道及び公園など、土地の使用状況の連続性及び地域の一体性を分断する場合がある客観的な状況を総合勘案し、利用状況、環境等が概ね同一と認められる、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域における標準的な宅地の地積に基づいて判断するのが相当であるとした事例
- 傾斜度が30度を超える土地であることから財産評価基本通達に定める方式ではなく個別評価が相当である旨の主張を認めた事例
- 医療法人の出資持分の評価に際し、相続開始時点において既に退社した社員が出資金払戻請求権を行使していない場合であっても、当該出資持分については、当該退社社員が退社する直前の出資持分の総口数から当該退社社員が有していた出資持分の口数を控除した後の口数を総口数として、財産評価基本通達194−2の定めにより評価するものとした事例
- 不整形地の評価をするに当たって原処分庁が採用した想定方法による整形地は財産評価基本通達20に定める想定整形地に当たらないとした事例
- 財産評価基本通達188の規定に基づき株主区分の判定を行うに当たり、発行済株式数から控除する株式は、同188−3及び同188−4に定める株式に限られず、むしろ同188の定めにおける発行済株式数に、議決権を有しないこととされる株式及び議決権のない株式は、当然に含まれないとした事例
- 医療法人の出資持分の評価は財産評価基本通達に定める方法により算定した価額が相当であるとした事例
- 取引相場のない株式を相互に持ち合う会社の株式の評価において、当該株式の発行会社が株式保有特定会社に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。