雇用主が契約した生命保険契約に基づき保険金受取人である被相続人の遺族が取得すべき死亡保険金の一部を雇用主が遺族から贈呈を受けた場合に、その残額はみなし課税財産である退職手当金等に当たるとする請求人の主張がしりぞけられた事例
[消費税法][申告、更正の請求の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2000/09/20 [消費税法][申告、更正の請求の特例]雇用主が、その従業員や役員のために、これらの者を被保険者とする生命保険契約の保険料を負担している場合において、被保険者の死亡によりその相続人等が死亡保険金を取得したときには、雇用主の負担した保険料はその従業員や役員が負担したものと解し、死亡保険金は相続税の対象とするのが相当である。(相続税法第3条第1項第一号) しかし、雇用主が、その死亡保険金を退職手当金等として支給することとしている場合には、その死亡保険金は退職手当金等に当たるものと解するのが相当であるが、その判断は、雇用主である企業の定款、株主総会、社内規程、就業規則、労働協約等において、その死亡保険金が退職手当金等として支給されるものである旨の意思が明らかにされているか否か等を考慮して行うのが相当である。
ところで、J社においては、取締役の退職慰労金について、定款で、株主総会の決議により定める旨規定し、また、役員退職慰労金内規で、その金額は、株主総会において承認された金額又は株主総会の決議に従い取締役会において決定した金額とする旨規定されているにもかかわらず、本件被相続人に対する退職慰労金の支給については、株主総会において何ら決議されておらず、また、本件死亡保険金を退職手当金等として支給する旨の定めもない。
このことからすれば、請求人が本件生命保険契約に基づき取得した死亡保険金は、退職手当金等としては認められないというべきである。
そして、雇用主たるJ社は、被相続人の生存中に本件生命保険契約を締結し、その保険料を支払うのみで、本件死亡保険金については何ら権利はなく、請求人は、被相続人の死亡により、当然に本件死亡保険金を取得することができるのであるから、請求人が取得した死亡保険金は、その全額が生命保険金として相続税の課税対象となる。
平成12年9月20日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 雇用主が契約した生命保険契約に基づき保険金受取人である被相続人の遺族が取得すべき死亡保険金の一部を雇用主が遺族から贈呈を受けた場合に、その残額はみなし課税財産である退職手当金等に当たるとする請求人の主張がしりぞけられた事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(消費税法>申告、更正の請求の特例)
- 取引相場のない株式を純資産価額方式により評価する場合において、評価会社が負担した弔慰金については、相続財産とみなされず、実質上の二重課税とはならないので、負債に計上する必要はないとした事例
- 代償債権の評価に当たり、その一部は、回収が著しく困難であると認定した事例
- 財産評価通達24−2により評価した土地区画整理事業の施行区域内の土地の評価額は、適正であるとされた事例
- 請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
- 無利息の敷金に係る債務控除額は、敷金の金額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した金額によるのが相当とした事例
- 被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例
- 実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例
- 相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため、相互に各相続人に課した特別の責任であって、各相続人の固有の納税義務が確定すれば、他の共同相続人に徴収手続を行うことができ、滞納者に徴収手続を尽くした後でなければ、共同相続人に徴収手続を行えないというものではないとされた事例
- 非上場株式が「管理又は処分するのに不適当」と判断された事例
- 土地区画整理事業地内の評価対象地につき、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、財産評価基本通達24−4(広大地の評価)の適用はないとした事例
- 請求人が相続により取得した土地の時価について、請求人の主張する不動産鑑定評価額には合理性が認められず、財産評価基本通達等により難い特別な事情は認められないから、一般的に合理性を有するものと解される財産評価基本通達等に基づき評価した評価額が相当であるとした事例
- 存続期間が100年を超える地上権の設定であっても、建物の所有を目的とする場合には借地法の法的保護の下にあるから、相続税法第23条“地上権及び永小作権の評価”の適用はないとした事例
- 相続税の申告期限前に同族法人に対する貸付金の一部が受贈益として確定しているからその部分について回収不能であるとする請求人の主張を排斥した事例
- 農業の主たる従事者の死亡により、市町村長に買取りの申出ができる生産緑地の価額は、生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した価額で評価するのが相当であるとした事例
- 無記名の本件貸付信託及び本件割引債は被相続人に帰属し、相続財産に当たると認定した事例
- 相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例
- 貸金庫内に保管されていた株券は、貸金庫の開閉状況、株券の管理・処分の決定方法等の状況からみて、本件被相続人名義分も含めて、その全部が、本件被相続人の被相続人である父親の未分割遺産であるから、そのうち本件被相続人の法定相続分相当のみが本件被相続人の相続財産であると認定した事例
- 相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例(平成26年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し・平成30年8月22日裁決)
- 貸し付けている宅地の評価に当たって、借地権者が3棟の建物を建築しそれぞれ別の事業の用に供していたとしても、その土地全体が一人の借地権者に貸し付けられており、かつ分割されることなく相続されていることから、その土地全体を1画地の宅地として評価することが相当であるとした事例
- 相続により取得した土地は、宗教法人である寺院の尊厳を維持するための土地であるから非課税財産である旨の請求人の主張を排斥した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。