香港子会社による第三者株式割当てにより、請求人が所有する当該香港子会社の株式の資産価値の一部が無償で他社に移転したことは、当該第三者株式割当てが請求人の株主と割当先との合意に基づくものと認められることから、法人税法第22条第2項に該当し、益金の額に算入されるとした事例
[法人税法][所得金額の計算][益金の額の範囲及び計算]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2004/03/30 [法人税法][所得金額の計算][益金の額の範囲及び計算] 請求人は、本件増資は、本件新株割当てを行ったE社(香港に設立された請求人の子会社)と本件新株払込みをしたH社の間の取引にほかならず、請求人は、H社と何らの取引をしておらず、実質的にみて、請求人が保有していたE社株式の資産価値の一部がH社に移転したとしても、それは請求人の行為によるものではないから、法人税法第22条第2項に規定する「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たらないと主張する。
しかしながら、一般に株主は、株式を通じ、株式会社の資産を所有し、支配するのであり、清算を待つまでもなく、株式の移転を通じ、株式に表象された株式会社の資産価値を取得することができ、株式の価額は、額面金額ではなく、上場株式の場合は市場において定まる価額により、非上場株式の場合は、株式会社の資産の実態に基づいて評価される価額により定まると解される。
法人税法第22条第2項に規定する「取引」とは、その文言及び規定における位置付けから、関係者間の意思の合致に基づいて生じた法的及び経済的な結果を把握する概念として用いられていると解するのが相当であるから、請求人が何ら対価を得ることなく、所有していたE社株式の資産価値の一部を喪失し、H社がこれを取得した事実は、それが両社の合意に基づくと認められる以上、法人税法第22条2項に規定する無償による「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たると認められる。
平成16年3月30日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 香港子会社による第三者株式割当てにより、請求人が所有する当該香港子会社の株式の資産価値の一部が無償で他社に移転したことは、当該第三者株式割当てが請求人の株主と割当先との合意に基づくものと認められることから、法人税法第22条第2項に該当し、益金の額に算入されるとした事例
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