従業員兼務役員で節税
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理事長に対する債務免除は、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものに該当せず給与として源泉徴収を要するとした事例

[所得税法][源泉徴収]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2011/12/20 [所得税法][源泉徴収]

平成23年12月20日裁決

《要旨》 請求人は、請求人の理事長に対し行った債務の免除(本件債務免除)について、本件債務免除に係る経済的な利益(本件債務免除益)は、所得税基本通達36−17《債務免除益の特例》に定める「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」に該当し、理事長の所得の金額の計算上収入金額に算入されないから、源泉徴収義務を負わない旨主張する。
 しかしながら、理事長は、本件債務免除時において、債務超過の状態であったものの、本件債務免除時の収入、資産等から債務の一部を弁済することができただけでなく、信用、才能等を活用すれば、将来において、当該債務の一部を弁済するための資金を調達することができたものと認められるから、本件債務免除益は、上記通達に定める「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」には該当しない。
 そして、本件債務免除は、請求人に対する理事長の長年にわたる貢献を理由としていることなどからすれば、理事長が請求人の理事長の地位、労務又は役務に対する広義の対価としてされたものといえ、理事長が請求人の理事長であることと無関係になされたものと認めるべき特段の事情は認められないから、本件債務免除益は、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与所得に該当し、請求人は、本件債務免除益について源泉徴収義務を負う。

《参照条文等》 所得税法第28条第1項、第36条第1項 所得税基本通達36-17

《参考判決・裁決》 最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(民集35巻3号672頁) さいたま地裁平成15年9月10日判決(税資253号順号9428) 最高裁平成元年9月14日第一小法廷判決(集民157号555頁) 東京高裁平成16年9月13日判決(税資254号順号9742)

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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