一般財団法人間の合併に対する適格判定における「事業関連性要件」の判定|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
X協会及びY協会は、一般財団法人のうち一定の要件を満たした非営利型法人に該当します(法法2九のニイ、法令3)。したがって、法人税法上は公益法人等に該当することとなり(法法2六)、いずれの協会もその事業の一部のみが収益事業に該当していますので、当該収益事業について法人税の申告を行っているところです。
この度、両協会の間で、X協会を合併法人とし、Y協会を被合併法人とする吸収合併を行うこととなりました。本件吸収合併に対する適格判定については、いずれの協会も株主等が存在しないため、「共同で事業を営むための合併」(法法2十二の八ハ)に該当するかについて検討を行うこととなりますが、適格要件の検討に当たり、その事業の相互関連性の有無や売上金額等による事業規模などの判定については、収益事業のみで判定を行うのではなく、非収益事業まで含めた事業全体により判定を行うと解して差し支えありませんか。
【回答要旨】
貴見のとおり解して差し支えありません。
(理由)
一般財団法人のうち非営利型法人に該当するものは、法人税法上の公益法人等に該当し、収益事業から生ずる所得に限って法人税が課されますので、合併に係る適格判定における共同事業要件の判定についても、その事業の相互関連性の有無や売上金額等による事業規模などの判定においては、収益事業のみを対象とするのではないかとの疑義が生じるところです。
しかしながら、共同事業要件の判定における「被合併事業」とは、被合併法人の合併前に営む主要な事業のうちいずれかの事業と規定し、「合併事業」とは、合併法人の合併前に営む事業のうちいずれかの事業と規定しているのみであり(法令4の3一)、収益事業を行う公益法人等の間で合併が行われた場合について、「被合併事業」及び「合併事業」を収益事業に限る旨の特段の規定は設けられていません。
また、法人税法において特定の事業を収益事業として特掲して他の事業(非収益事業)と区分しているのは、同法が収益事業から生じた所得のみを課税対象としていることに基因するものであって、経済実態的には、その行う非収益事業と収益事業が一体となって公益法人等の事業を構成しているものと考えられます。
したがって、「資産を移転する前後で経済実態に実質的な変更がない」かどうかは、経済実態的に収益事業と一体となって公益法人等の事業を構成する非収益事業まで含めた事業全体により共同事業要件の判定を行うと解することが相当です。
【関係法令通達】
法人税法第2条第6号、第9号の2イ、第12号の8ハ
法人税法施行令第3条第1項、第4条の3第4項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/15.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 地方公共団体に対して中古資産であるパソコンを寄附した場合(1)
- 公益財団法人の交際費課税上の資本又は出資の額
- 交換により取得した土地の圧縮記帳の可否について
- 試験研究費に含まれる人件費の範囲
- 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由
- 債務超過の状態にない債務者に対して債権放棄等をした場合
- 事務処理の委託を受ける業の範囲(保険請求事務)
- 損失負担(支援)額の合理性
- 売買とされるPFI事業について(法人税の取扱い)
- 保険代理業における預金利子等の帰属の時期
- 盗難により支払を受けた保険金に係る保険差益の圧縮記帳
- 勤続年数の打切りに伴う退職給与の一部打切支給
- 事業分量配当の対象となる剰余金
- 社会保険料の損金算入時期について
- 周波数移行に伴うソフトウェア修正費用の取扱い
- 外国の地方公共団体が課す罰金について
- 特定調停において利息の棚上げが行われた場合
- 支援者が複数いる場合の損失負担(支援)割合の合理性
- アスファルトコンクリート敷の舗装道路の細目判定
- ゴルフ会員権が金銭債権に転換する時期
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。