再建計画の策定中にやむを得ず行う支援の合理性|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社の子会社は、昨今の不況により不良債権が増加し、倒産の危機にあることから、A社はA社及び子会社のメイン銀行である甲銀行と緊急の無利息及び低金利での貸付けを行うこととしました。
子会社の再建計画は、今後このようなことのないように営業債権についてすべての洗い出しを行い策定することとし現在作成中です。従いまして、再建計画の骨子はできていますが、現時点では具体的な再建計画はできていません。
このような状況で行うA社及び甲銀行の無利息及び低金利による経済的利益の供与は、子会社に対する寄附金となりますか。
【回答要旨】
再建計画の骨子を明らかにし、計画を現在策定中であることが確認される場合で、その貸付けが緊急に行う必要がある場合には、無利息及び低金利による経済的利益の供与は、寄附金に該当しないものとして差し支えありません。
(理由)
子会社等の倒産防止のために金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けることが認められるのは、その貸付けが合理的な再建計画に基づく場合等無利息又は低金利で融資することに相当な理由があると認められる場合とされています(法人税基本通達9−4−2)。
従いまして、子会社の再建について具体的な検討がされずに無利息貸付等を行う場合には、他に相当な理由があると認められることが必要ですが、それが倒産を防止するために必要なものである場合には、再建計画の骨子が明らかになった時点、すなわち具体的な再建計画が策定される前であっても緊急に無利息及び低金利での融資等を行わなければならないことも相当の理由があると認められます。
つまり、A社及び甲銀行が行った無利息貸付等は倒産を防止するために緊急に行うことが必要であるいわゆる「つなぎ融資」として正常な取引条件での取引と考えられますので、A社及び甲銀行の無利息及び低金利による経済的利益の供与は、税務上も寄附金として取り扱わないことが適当と考えられます。
【関係法令通達】
法人税基本通達9−4−2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/13/25.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 親会社が毎期行う貸付債権の一部放棄による経済的利益の供与
- 太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて
- 企業再生税制の対象となる私的整理とそれ以外の私的整理における税務上の取扱いの違い
- 被合併法人から引継ぎを受ける未処理欠損金額に係る制限の適用除外について
- 社会保険料の損金算入時期について
- 米国LLCに係る税務上の取扱い
- 輸入貿易手形借入金の期限延長
- (一財)△△△協会が行う金銭の貸付業の収益事業の判定
- 建物の一部分を取得した場合の耐用年数
- 仮決算中間申告と特定資産の買換えの場合の圧縮記帳
- 租税特別措置法第42条の4に規定する中小企業者について(投資事業有限責任組合が出資する法人)
- 収益事業から非収益事業に係る指定寄附金として振り替えた場合の取扱いについて
- 貸倒れに該当しない債権放棄の検討
- 交際費等の範囲(販売代理店等の従業員の健康診断費用)
- 工場周辺の住民のためにテレビの共聴アンテナを設置する費用
- 医療保健業の範囲(予防接種)
- 代理店契約の破棄を理由に支払拒絶を受けている債権
- 共同事業要件の場合の株式継続保有要件について
- 解約返戻金のない定期保険の取扱い
- 定期給与の額を改定した場合の損金不算入額(定期同額給与)
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。