役員の分掌変更に伴う増額改定(定期同額給与)|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当社(年1回3月決算)では、代表取締役Aが急逝したことから、急きょ、10月1日に臨時株主総会を開催し、取締役Bを代表取締役に選任するとともに、Bの役員給与を月額50万円から前任者Aと同額の月額100万円に増額改定する旨の決議を行いました。この場合、当社がBに支給する役員給与は法人税法第34条第1項第1号(役員給与の損金不算入)に規定する定期同額給与に該当しないこととなるのでしょうか。
なお、この改定前の定期給与(その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるものをいいます。以下同じ。)は、前事業年度の定期給与と同額であったため、本年の定時株主総会では前年の定時株主総会において決議された額と同額とすることを決議しておりません。
【回答要旨】
ご質問の場合は、増額改定前の定期給与と増額改定後の定期給与とのそれぞれが、定期同額給与として取り扱われます。(理由)
役員に対して支給する定期給与のうち次に掲げるものは、定期同額給与として、これを支給する法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます(法法34一)。
- イ 当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
- ロ 次に掲げる改定がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
- 当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日(保険会社にあっては4月を経過する日をいい、以下「3月経過日等」といいます。)までにされた定期給与の額の改定
(注) 定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限ります。)が3月経過日等後にされることにつき特別の事情があると認められる場合に、その所定の時期に行われる定期給与の額の改定を含みます。
- 当該事業年度において法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(の改定を除きます。)
- 当該事業年度において法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、及びに掲げる改定を除きます。)
- 当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日(保険会社にあっては4月を経過する日をいい、以下「3月経過日等」といいます。)までにされた定期給与の額の改定
ご質問の場合は、代表者の急逝に伴う役員Bの職制上の地位の変更により、事業年度の中途に行った当該役員Bに係る定期給与の額の改定であることから上記の臨時改定事由によりされた対象となる役員に係る定期給与の額の改定に該当します。
したがって、当該事業年度開始の日から改定後の最初の支給時期の前日までの間の各支給時期における役員Bに係る定期給与の額が同額(50万円)であり、かつ、改定前の最後の支給時期の翌日から当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における役員Bに係る定期給与の額が同額(100万円)であれば、増額改定前の定期給与と増額改定後の定期給与とのそれぞれが、定期同額給与に該当することになります。
【関係法令通達】
法人税法第34条第1項第1号、法人税法施行令第69条第1項第1号ロ
法人税基本通達9−2−12の3
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/11/04.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産について供用事業年度後の事業年度に国庫補助金等の圧縮記帳制度の適用を受ける場合の取得価額の取扱い
- 完全支配関係のある法人間でリース取引を行った場合の譲渡損益の計上について
- 売買とされるPFI事業について(法人税の取扱い)
- 過大役員給与の判定基準
- 賃借建物にした造作を買換資産とする場合の取扱い
- 保険差益の圧縮記帳と特定資産の買換えによる圧縮記帳との関係
- いわゆる「三角合併」に係る被合併法人の株主における課税関係について
- 法人税の中間(予定)税額の算出方法について
- 非課税となるオープン病院等
- 社会保険診療報酬の特例計算
- 税理士法人の社員に係る使用人兼務役員への該当性
- いわゆる屋根貸し事業における環境関連投資促進税制(租税特別措置法第42条の5)の適用について
- 外国税額控除における国外所得の範囲
- 試験研究費に含まれる人件費の範囲
- 工場周辺の住民のためにテレビの共聴アンテナを設置する費用
- 代理店契約の破棄を理由に支払拒絶を受けている債権
- 非常用食料品の取扱い
- 支援者が複数いる場合の損失負担(支援)割合の合理性
- 利害の対立する複数の支援者の合意により策定された再建計画
- 合理的な整理計画又は再建計画とは
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。