請求人の主張する保証債務の存在を認めなかった事例
裁決事例(国税不服審判所)
2000/09/25 [所得税法][所得計算の特例][保証債務の履行] 請求人は、保証債務が存在していたことは、[1]本件譲渡の話が進んだ平成3年12月に作成した返済予定表及び返済予定表を基に作成替えした連帯借用証書があること、[2]債権者から貸金の返還訴訟等を提起され判決等を受けたこと、[3]保証債務を借入金7,000万円及び譲渡代金3,700万円で返済したこと及び[4]債権者、主たる債務者等の陳述書等があることからも明らかであり、本件譲渡代金は、その全額が直接保証債務の履行に充てられていないが、最終的には本件譲渡代金が保証債務の履行に充てられており、本件特例が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、[5]返済予定表及び連帯借用証書は、本件土地の譲渡の話が平成5年5月にまとまっていることからすると、いずれも日付をさかのぼって作成されたものであり、その連帯借用証書も保証人欄の氏名が追加記載されるなど、その信憑性に欠けるものであること、[6]判決等は、訴訟が欠席裁判であり本件借入金の存在を実質審理されたものではなく、保証債務の存在を仮装するためのものと認められること、[7]保証債務を履行するための借入金については、その調達先が原処分段階から二転三転しており、その決済を現金と主張するのみで具体的に裏付ける証拠書類がないこと及び[8]関係人のいずれの陳述も具体的な証拠書類に基づくものではないことからすると保証債務が存在していたとは認められない。
したがって、請求人のその余の主張を判断するまでもなく本件特例は適用できない。
平成12年9月25日裁決
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