税理士が関与先に貸し付けた貸付金の貸倒れによる損失の金額は、税理士業務に係る事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとした事例
[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1986/06/30 [所得税法][必要経費][事業所得]裁決事例集 No.31 - 37頁
所得税法第51条第2項に規定する「事業の遂行上生じた貸付金」は、当該事業所得の基因となる事業の範囲に属する事由によって生じたもの、つまり、当該事業所得を得るために通常必要とされる貸付金がこれに該当すると解されるところ、税理士である請求人は貸金を業としていないこと及び税理士業務の範囲に関与先に対する貸付金の貸付けは含まれていないことから、当該貸付金の貸付けが請求人の事業所得の基因となる事業の範囲に属する事由によって生じたものと認めることはできないし、また、事業所得を得るために必要な貸付けであったと認めることはできないので、当該貸付金は当該事業所得を生ずべき事業の遂行上生じた貸付金に該当しない。
したがって、当該貸付金の貸倒れによる損失の金額は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。
昭和61年6月30日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 税理士が関与先に貸し付けた貸付金の貸倒れによる損失の金額は、税理士業務に係る事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>事業所得)
- 被相続人に係る事業所得の金額の計算上の必要経費には、死亡時までの従業員退職金相当額は算入できないとした事例
- 取引先から受領した約束手形については、債務者が和議の取下げをした時点において債権の回収が不能になったと認められることから、貸倒損失として必要経費の額に算入すべきであるとした事例
- 請求人が必要経費に算入した開業費の償却費、接待交際費及び旅費交通費の各費用は、業務の遂行上必要なものとは認められず、必要経費に算入することはできないとした事例
- 未収リース相当額の債権に係る貸倒損失は事業の遂行上生じたものであるとした事例
- 業務遂行中に起こした交通事故の被害者に支払った損害賠償金は所得税法施行令第98条に規定する「重大な過失」により負担したものではないとした事例
- ほぼ伐期に達した山林について生じた災害による損失の金額は立木ごとに計算すべきであるとした事例
- 請求人の夫は青色事業専従者に該当しないとした事例
- 不動産の賃貸料収入が多額であったとしても、その賃貸は事業的規模に当たらないとされた事例
- 個人事業主の死亡は当然に雇用契約の終了事由、事業廃止原因であるから、従業員に支給する退職金の必要経費算入を認めるべきであるとの請求人の主張が排斥された事例
- 請求人の妻である医師は、請求人の事業に専ら従事していないとして、妻に対して支払った青色事業専従者給与の額は必要経費に算入されないとした事例
- 請求人が開業費として計上した平成10年1月〜5月の地代家賃等は、平成10年1月の開業後に支出したものであるから、平成15年分の事業所得の計算上当該開業費の償却費を必要経費に算入することはできないとした事例
- 株式取得のための借入金の利子は配当所得の必要経費であり事業所得の必要経費ではないとした事例
- 非常勤医師である従兄弟に支給した報酬のうち、他の非常勤医師に支給していた日給相当額を超える部分は過大であり、また、親族及び親族の家政婦に支給した給与等の額は、請求人の業務に従事した事実が認められないから、いずれも必要経費の額に算入できないとした事例
- 請求人が主張する本件旅費交通費等は、簿外経費に係るものであり、また、請求人が提出した本件説明資料は請求人の記憶のみに基づくもので、他に同資料を裏付ける領収書等の証拠資料の提示がないことから、本件旅費交通費等の存在を認めることはできないとした事例
- 事業所得に係る所得税等の納付のために借り入れた借入金の利子は必要経費に算入することはできないとした事例
- 1. 請求人が架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、調査担当職員に帳簿書類の保存がない等の虚偽の答弁をしたことは、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に当たるとされた事例2. 更正処分により賦課される事業税の額を見込額で必要経費に算入すべきとの請求人の主張が排斥された事例3. 請求人が会計データを保存していたフロッピーディスクに不具合が生じ、出力不可能となったこと等を理由に帳簿書類等を提示しなかったことは、青色申告承認取消事由に当たるとされた事例
- 事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例
- 請求人の夫の事業への従事の程度は、一時的ないし臨時的なものであって、事業に専ら従事するものとは認められないとした事例
- 法人成りにより個人事業を廃業した年分に、繰延資産(医師会の入会金等)の未償却残額を資産損失として必要経費に算入することはできないとした事例
- 法人成りしたことに伴い個人事業を廃止した年分の必要経費に算入した従業員退職金(預り金経理)は必要経費に算入できないとする原処分庁の主張を排斥した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。