事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例
[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1991/04/23 [所得税法][必要経費][事業所得]裁決事例集 No.41 - 130頁
所得税法第37条第1項に規定する必要経費とは、その支出が「業務について生じた」ものとして、業務との関連性が要求されるとともに、その関連性には通常かつ一般的に必要と認められる客観性がなくてはならないものと解するのが相当であるところ、請求人は自らが主宰する法人に対して無利子で貸し付けた場合の原資となった借入金に対応する借入金利子の額は、請求人の事業と密接な関係にあり、当該事業を遂行する上での必要から本件貸付けを行ったものであるから、本件借入金利子は請求人の事業所得に係る必要経費として認められるべきである旨主張するが、本件貸付けは請求人の事業と当該法人の事業が相互に取引先としての業務上の密接な関係があったことに起因するとは認めがたく、当該法人の代表取締役としての地位と責任に基づいて行われたものと認められるところから、請求人の事業の遂行上必要なものとは認められないので、本件借入金利子は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
なお、原処分は、本件貸付金の原資となった借入金の利子の額の算定額に誤りがあるとして、その一部を取り消した。
平成3年4月23日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>事業所得)
- 取引先から受領した約束手形については、債務者が和議の取下げをした時点において債権の回収が不能になったと認められることから、貸倒損失として必要経費の額に算入すべきであるとした事例
- 住民登録のない者への外注費の支払を否認した原処分につき請求人の主張を一部容認した事例
- 医師が医院建築資金を銀行から借り入れる際に締結した生命保険契約に係る支払保険料は、家事上の経費に該当し、事業所得の金額の計算上必要経費とはならないとした事例
- 修士及び博士課程の授業料等並びに米国の大学への寄付金は弁護士業に係る事業所得の必要経費とすることはできないとした事例
- 青色事業専従者給与の必要経費算入を否認した原処分は相当であるとした事例
- 同居している請求人の妻の父母が独立した生計を営んでいるとはいえないから、同父母に支払った給料及び地代は必要経費に算入することはできないとした事例
- 一括払いの積立普通傷害保険の保険料のうち満期返戻金等の原資となる積立保険料部分は、業務遂行上必要な費用とは認められないから、保険料支払のための借入金に係る利息のうち、積立保険料に対応する額は、事業所得の金額の計算上必要経費とは認められないとした事例
- 請求人の青色申告の特典控除前の所得金額に、同業者の青色申告の特典控除前の所得金額に占める妻の青色事業専従者給与の額の割合の平均値を乗じて算定した金額を必要経費に算入できる額としたことは、合理的な認定方法であるとした事例
- 事業所得の金額の計算上、仮装した事実等により総収入金額及び必要経費を算出していたとした事例
- 請求人が債権譲渡により生じたとする貸倒損失は認められず、また、修正申告書を作成するに当たって支払ったとする決算事務手数料は、必要経費に算入されないとした事例
- 事業の用に供していた資産の譲渡損について一部認容した事例
- 本件土地の取得に要した借入金の支払利子は、不動産所得あるいは事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないとした事例
- 請求人が主張する本件旅費交通費等は、簿外経費に係るものであり、また、請求人が提出した本件説明資料は請求人の記憶のみに基づくもので、他に同資料を裏付ける領収書等の証拠資料の提示がないことから、本件旅費交通費等の存在を認めることはできないとした事例
- 管工事協同組合に加入するに当たり支出した加入金は必要経費ではなく組合に対する持分の取得費であるとした事例
- 事業所得に係る所得税等の納付のために借り入れた借入金の利子は必要経費に算入することはできないとした事例
- 請求人がb町区長等に対して支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例(平成22年分の所得税の更正の請求に対する更正処分・一部取消し・平成26年12月4日裁決)
- 税理士が関与先に貸し付けた貸付金の貸倒れによる損失の金額は、税理士業務に係る事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとした事例
- 業務遂行中に起こした交通事故の被害者に支払った損害賠償金は所得税法施行令第98条に規定する「重大な過失」により負担したものではないとした事例
- 請求人の妻が現に不動産貸付業及び理容業に係る業務に従事していたとしても、その事務量は僅少であるから、青色事業専従者に該当しないとした事例
- 青色事業専従者給与の支払に充てられた資金の原資が請求人の給与収入から請求人の事業に振り替えられたもの(事業主借)であることを理由に、青色事業専従者給与の支払額全額が、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できないとした原処分庁の主張を排斥した事例(平成22年分〜平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成27年4月13日裁決)
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。