都市再開発法に基づいて収受した土地に係る補償金及び土地の明渡し等に伴う損失の補償金等は、本件係争事業年度の収益の額に算入されないとした事例

[法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2012/10/05 [法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]

平成24年10月5日裁決

《ポイント》 本事例は、都市再開発法に基づく第一種市街地再開発事業(権利変換方式)により収受した土地に係る補償金については権利変換期日に、土地の明渡し等に伴う損失の補償金等については土地及び当該土地にある物件の明渡しの期限(明渡しの義務が生じることとなる日)に、それぞれ収入すべき権利が確定したものと解するのが相当であるとして、原処分を取り消したものである。

《要旨》 請求人が都市再開発法の規定に基づいて設立された市街地再開発組合から受領した権利変換処分に基づく土地補償金(本件土地補償金)及び移転補償金等(本件移転補償金等)を、本件係争事業年度(平成20年11月期)の益金の額に算入したことについては、原処分庁も是認するところであり、当事者間に争いはない。
 しかしながら、都市再開発法第87条《権利変換期日における権利の変換》第1項、第91条《補償金等》第1項、第96条《土地の明渡し》第1項、同条第3項、第97条《土地の明渡しに伴う損失補償》第1項及び同条第3項の各規定によれば、同法に定める権利変換処分(権利変換期日において権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地等が与えられないものに限る。)が行われた場合には、施行者は、権利変換期日までに施行地区内の土地を有する者に対して補償金を支払う義務を負い、また、施行者が定めた明渡しの期限までに当該土地及び当該土地にある物件に関し権利を有する者に対して移転補償金等を支払う義務を負う一方で、当該土地は権利変換期日において新たに所有者となるべき者に帰属するとともに、当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は、施行者が定めた明渡しの期限までに施行者に土地若しくは物件を引渡し又は物件を移転する義務を負うことになるから、権利変換処分を受けた施行地区内の土地及び当該土地にある物件を有する者においては、土地に対する補償金については権利変換期日に、移転補償金等については土地及び当該土地にある物件の明渡しの期限(明渡しの義務が生じることとなる日)に、それぞれ収入すべき権利が確定したものと解するのが相当である。
 そうすると、本件における権利変換処分に係る権利変換期日並びに土地及び建物の明渡しの期限はいずれも本件係争事業年度の前事業年度(平成19年11月期)に属するから、本件土地補償金及び本件移転補償金等はいずれも平成19年11月期の益金の額に算入すべきである。

《参照条文等》 法人税法第22条第2項、第4項 都市再開発法第87条第1項、第91条第1項、第96条、第97条

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
都市再開発法に基づいて収受した土地に係る補償金及び土地の明渡し等に伴う損失の補償金等は、本件係争事業年度の収益の額に算入されないとした事例

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