建物賃貸借契約の合意解約に伴う残存期間賃料は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、不動産所得の総収入金額に当たるとした事例
[所得税法][所得の種類][不動産所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2009/10/23 [所得税法][所得の種類][不動産所得] 請求人は、本件建物を処分する方法として、本件建物を売却し、その敷地について利用権を設定するとともに、請求人が支払うべき敷金及び保証金の精算をするという一連の取引を、本件合意解約、本件借地権付区分所有建物売買契約、本件土地賃貸借契約という3つに分割して行ったものであるから、上記各契約を独立した取引と解釈すべきではなく、一連の取引として一体として捉えるべきであり、そうすると、本件建物賃貸借契約の合意解約に伴い生じた本件残存期間賃料は譲渡所得と見るべきであり、不動産所得には該当しない旨主張する。
しかしながら、上記ないしの各契約はいずれも別個の契約であり、各契約を一個の契約であると認めるべき特段の事情があるとも認められない。本件残存期間賃料は、建物賃貸借期間を20年とし、賃貸借期間中は契約解除をなし得ない旨定めていた本件建物賃貸借契約につき、両当事者の合意により、賃貸借契約期間の満了を待たずして本件建物賃貸借契約を合意解約することに伴い、その合意解約の約定において確認された残存期間賃料に相当するものである。そうすると、本件残存期間賃料の性質は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、本件残存期間賃料は不動産所得に該当する。
平成21年10月23日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 建物賃貸借契約の合意解約に伴う残存期間賃料は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、不動産所得の総収入金額に当たるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>所得の種類>不動産所得)
- 請求人が返還を求めている土地を使用(占有)している者から受領した金員について、請求人が本件土地を自ら使用収益することができなくなったことの対価として支払われたものとするのが相当であることから、所得税法施行令第94条第1項第2号の規定に該当するとして、不動産所得の総収入金額とした事例
- 請求人が買い受けた不動産の売買代金の支払に代えて引き受けた債務の免除は、請求人の経済的利益に当たるから、不動産所得の総収入金額に算入するのが相当であるとした事例
- 大規模なコンクリート基礎工事によって土地に固着された工場据付機械等の賃貸による所得は不動産所得に当たるとした事例
- 建物賃貸借契約の合意解約に伴う残存期間賃料は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、不動産所得の総収入金額に当たるとした事例
- 自己の所有する農地を土砂の仮置き場として地方公共団体に使用させたことに伴い受領した損失補償金は、不動産所得に該当するとした事例
- 中途解約に伴い賃借人に対し返還不要となった敷金及び建設協力金は、不動産所得の収入金額に当たるとするとともに、当初申告で平均課税の適用をしていないことに「やむを得ない事情」があると認められないとした事例
- 客船の船室及び船内施設を他人に利用させるなどして得た所得は雑所得に該当するとした事例
- 建物貸付けは、同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、貸付けに係る維持管理等の程度が実質的には相当低いとして、不動産所得を生ずべき事業に当たらないとした事例
- 不動産賃貸に係る土地と建物(マンション)を一括購入した場合の減価償却資産となる建物本体と建物附属設備の取得価額の算定方法について争われた事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。