請求人が子会社支援損とした同社に対する貸付債権の放棄額は、寄附金に該当するとした事例
[法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2002/06/28 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金] 請求人は、子会社であるH社に対する債権放棄につき、銀行から同社の債務超過の解消を求められ、それができないとすると、同社の銀行借入金の返済を請求人が肩代わりしなければならないという状況の中で、合理的な再建計画に基づいてなされたもので、その負担をしなければより多くの金銭的負担をしなければならないことはもとより、グループ企業全体への信用収縮という重大な結果を招き、請求人がより大きな損失を被ることが明らかであるから、本件債権放棄は寄附金に該当しない旨主張する。
しかしながら、銀行がH社の債務超過の解消を求められていた事実は認められず、むしろ、H社自身の判断により請求人に本件債権放棄を要請していたこと、請求人は、翌期において、1億4,000万円をH社に貸付けており、H社が資金ショートにより倒産する状況にあったとは認められないこと、請求人がH社に対する貸付金の元本の返済猶予と金利の棚上げを行った場合と本件債権放棄を行った場合とで、H社の資金効果は何ら異ならないこと、H社は、請求人及び銀行からの金利減免を受け、再建に係るリストラ等の自助努力を推進することにより、自力再建が可能であると認められること等からすれば、本件債権放棄は、H社の倒産を防止するためにやむを得ず行われたものであるとか、合理的な再建計画に基づいてなされたものと認められないため、その放棄した額は寄附金に該当する。
平成14年6月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が子会社支援損とした同社に対する貸付債権の放棄額は、寄附金に該当するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 架空外注費と認定した事例
- 請求人が非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した価額は、通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であると認定した事例
- 法人が事業の用に供している資産の取得について生じた紛争の解決のために支出した金額は偶発的に生じた損害金と認定した事例
- 本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例
- 簿外のたな卸資産に係る評価損については、所定の評価換え及び損金経理がなされていないから、その損金算入は認められないとした事例
- 請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例
- 請求人の費用計上に取引先との通謀や水増しがなく、過大に計上していないとした事例
- 請求人が同族グループ法人へ譲渡したとする土地建物等は、引き続き請求人の借入金の担保に供されており、所有権移転の登記もされておらず、請求人名義で他に賃貸されていることから、譲渡はなかったと認定し譲渡損の損金算入を否認した更正処分が適法であるとした事例
- 同族会社の元社長の死亡の際に支出した弔慰金等の雑損失計上を相当と認めた事例
- 取引先に支払ったとする販売手数料は費途不明であるとはいえないとした事例(平18.10.1〜平23.9.30の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平18.10.1〜平23.9.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、棄却・平成26年7月28日裁決)
- 国内事業に関して発生した為替差益の付替え相当額は、親会社との契約に基づき同社に帰属すべきものであるから、国内事業の所得の計算上損金の額に算入されるべきであるとの請求人の主張を排斥した事例
- 請求人が本件退職金を支出したのは、新出資者が支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を負担した行為に当たるから、本件退職金は新出資者に対する寄付金と認めるのが相当であるとした事例
- 従業員等により外注加工賃として詐取された横領金は費用又は損失でなく当該従業員等に対する仮払金に当たるとした事例
- 本件費用は、請求人がその支払日等を具体的に明らかにしないことから損金の額に算入できないとした事例
- 事業を引き継いだ法人が支出した立替金の利息相当額は寄付金ではなく仮払金に該当するとした事例
- 和解金の支払が剰余金の分配と認められ資本等取引に該当するとして損金の額に算入できないとした事例
- いわゆる兄弟会社に対する貸付債権の放棄について寄付金として認定した原処分は相当でないとした事例
- 請求人と株主を同じくする関連会社に対する貸付金の利息免除について寄付金に該当しないとした事例
- 経営状態が悪化したことを理由とする子会社に対する経済的利益の供与は寄付金に当たると認定した事例
- 子会社株式の価額の回復可能性の判断は、将来の回復可能性について判断するのであるから、事業年度終了の時までの当該子会社の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であるとして、子会社株式の評価損の計上は認められないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。