住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の書類の添付がないとして住宅借入金等特別控除を適用することができないとした事例(平成23年分及び24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成23年分の所得税に係る還付金の充当処分・棄却・平成26年1月28日裁決)
裁決事例(国税不服審判所)
2014/01/28 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例]《ポイント》 本事例は、租税特別措置法第41条第17項に規定するとおり、住宅借入金等特別控除は、居住用家屋の取得等を明らかにする書類を確定申告書に添付している場合に限り適用することができるところ、登記事項証明書は添付書類の例示として規定しているものであり、登記事項証明書の添付がないことのみをもって住宅借入金等特別控除の書類添付の要件を満たさないというものではなく、それに代わる書類の提出があれば住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのであるが、請求人の提出した各書類のいずれによっても、当該居住用家屋の取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできないと判断したものである。
《要旨》 請求人は、登記された事実を証明することを租税特別措置法施行規則第18条の21《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合の添付書類等》第9項は求めていないことから、確定申告書に、住民票、売買契約書、司法書士に対する登記申請手続の依頼書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書等を添付していれば、登記事項証明書を添付していなくても、住宅借入金等特別控除を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する居住用家屋の取得の日とは、現実に自己の居住の用に供することが可能となったと認められる日、すなわち、その家屋について、支配が移転したときを指し、例えば、その家屋の所有権を有することを前提として、その家屋の引渡しないし所有権移転登記がされた日はこれに該当すると解するのが相当であるところ、請求人の提出した各書類のいずれによっても、少なくとも、請求人が本件物件を取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできない。
また、請求人は、審判所に提出した物件の引渡証及び登記事項証明書のとおり、物件の引渡しを受け、共有持分割合を2分の1とする登記が完了しており、請求人に、住宅借入金等特別控除の適用を受ける権利が実体法上あることは明らかである旨主張する。しかしながら、住宅借入金等特別控除に係る制度が、その適用を受けるに当たり、確定申告書に適用金額記載と書類添付をすることを手続上の要件として法定したものであるから、確定申告書に書類添付のない場合には、実体法上の適用要件を満たすかどうかにかかわらず、住宅借入金等特別控除の適用は認められない。
《参照条文等》 租税特別措置法第41条(平成25年法律第5号による改正前のもの) 租税特別措置法施行規則第18条の21(平成24年財務省令第65号による改正前のもの)
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