所得税更正処分等取消請求事件|昭和58(行ウ)8

[所得税法][事業所得][推計課税][過少申告加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。

行政事件裁判例(裁判所)

平成2年11月8日 [所得税法][事業所得][推計課税][過少申告加算税]

判示事項

1 推計課税の必要性の要件及び意義 2 自動二輪車等の販売及び修理を業とする者の事業所得金額について,同人の取引先における反面調査により把握した仕入金額を基礎とし,これに同業者の売買差益率及び一般経費率を適用するという推計方法により算定してした所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分が,推計の必要性が認められ,かつ合理性を有するから適法であるとされた事例 3 自動二輪車等の販売及び修理を業とする者の事業所得金額について,同人の取引先における反面調査により把握した仕入金額を基礎とし,これに同業者の売買差益率及び一般経費率を適用するという推計方法により算定してした所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分が,推計の必要性が認められ,かつ合理性を有するから適法であるとされた事例

裁判要旨

1 所得税法は申告納税を原則としているから,推計の方法によって更正等の処分を行うことが許容されるのは,納税者が帳簿書類を備え付けておらず,収入・支出の状況を直接資料によって明らかにすることができない場合,納税者が備え付けている帳簿書類の内容が不正確で信頼性に乏しい場合,又は納税者若しくはその取引先関係者が調査に協力しないため直接資料が入手できない等の理由により課税庁が所得金額等の実額を把握できない場合に限られ,また,このような推計課税の必要性は,更正等の課税処分の独立した手続要件(効力要件)ではないが,推計によって算出された金額が真実の金額である旨の事実上の推定を働かせる基礎事情となるものであり,課税処分取消訴訟において,課税庁が推計による所得又は収入若しくは経費の認識に基づいて課税処分を維持しようとする限りにおいて,推計の必要性が認められないときには,推計の基礎を欠くことによって推計による認定ができなくなり,その結果,課税庁の主張する所得の証明がされないことから,課税処分が違法とされるものである。
裁判所名
福岡地方裁判所
事件番号
昭和58(行ウ)8
事件名
所得税更正処分等取消請求事件
裁判年月日
平成2年11月8日
分野
行政
全文
全文(PDF)
裁判所:行政事件裁判例
所得税更正処分等取消請求事件|昭和58(行ウ)8

関連するカテゴリー

関連する裁決事例(所得税法>事業所得>推計課税>過少申告加算税)

  1. 「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるとした事例
  2. 建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認められず、調査担当者の具体的な指摘前に修正申告をしたとしても同法第65条第5項に該当しないとした事例
  3. 確定申告書の提出から1年経過後になされた過少申告加算税の賦課決定処分に不当はないと判断した事例
  4. 公的年金等に係る雑所得の金額を算出するに際し、いわゆる「雑所得速算表」を誤認した結果、所得税の確定申告が過少申告となった場合において、誤認したのは請求人の過失によるものと認められ、また、原処分庁から指摘があれば訂正するつもりで法定申告期限前に申告書を郵送したところ、期限内に指摘されなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
  5. 修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
  6. 修正申告のしょうようがあった後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
  7. 租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないとした事例
  8. 納税相談に際し、請求人は買換えであることを申し出ていない等の状況の下で、担当職員が請求人提示資料中の、登記済権利証添付書類の内容についてまで十分検討しなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する過少申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があるとは認められないとした事例
  9. 税務署における資料の調査により請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断した上で、尋ねたい事項や持参を求める書類を具体的に明記した文書を送付するなどの一連の過程から、国税通則法第65条第5項の「調査」があったと判断した事例
  10. 法定申告期限内に原処分庁が還付申告に係る誤りを指摘しなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
  11. 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
  12. 法人税基本通達14−1−1の2ただし書が適用されると誤解して申告したことにつき国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」はないとした事例
  13. 修正申告書の提出について、国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しないとして、これを排斥した事例
  14. 調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものであると認定した事例
  15. 土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例
  16. 申告相談担当職員による誤った指導等はなく、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
  17. 過少申告加算税の対象となる相続税の税額は、申告期限までに納付すべき税額と納税猶予税額との合計額であるとした事例
  18. 調査開始前に、請求人から関与税理士に従業員の横領行為発覚に伴う修正申告書の作成を依頼し、調査初日、同税理士から調査担当者に対して事実関係を説明するなどした後の修正申告書の提出は、「更正があるべきことを予知してされた」修正申告書の提出には当たらないとした事例
  19. 原処分庁の調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかったとしても、国税通則法第65条第4項及び第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
  20. 社会福祉法人に土地を贈与し、国税庁長官に租税特別措置法第40条の規定に基づく承認申請をした場合において、これに対する不承認通知が所得税の法定申告期限までになかったことが国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に該当しないと判断した事例

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