相続税更正処分取消請求控訴事件|平成7(行コ)65
[相続税法][相続税の課税価格の計算][租税特別措置法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成10年4月14日 [相続税法][相続税の課税価格の計算][租税特別措置法]判示事項
相続税の課税価格の計算に関し,相続開始前3年以内に被相続人が取得した土地についてはその取得価額を相続税の課税価格に算入すべき価額とする旨の特例を定めた租税特別措置法69条の4を削除した租税特別措置法の一部を改正する法律(平成8年法律第17号)の制定に伴う経過措置を定めた同法律附則19条3項と憲法84条,31条,14条1項,29条1項,2項裁判要旨
相続税の課税価格の計算に関し,相続開始前3年以内に被相続人が取得した土地についてはその取得価額を相続税の課税価格に算入すべき価額とする旨の特例を定めた租税特別措置法69条の4を削除した租税特別措置法の一部を改正する法律(平成8年法律第17号。以下「改正法律」という。)の制定に伴う経過措置を定めた同法律附則19条3項は,その内容において前記特例の適用による課税に制限を設けたものであるから,新たな課税方法又は課税制度を創設したものとはいえず,仮にこれを創設したものとみるべきであるとしても,前記特例が国民の財産権を侵害し,又は課税に実質的不公平といえる事態を生じさせるなどの問題をはらむものとして憲法に違反することを回避するために,実質的に納税者に有利に遡及適用することにしたものであって,国民の財産権を遡及的に侵害するものではないから,憲法84条,31条に違反するとはいえない上,改正法律附則19条3項中の「相続税額(中略)は,(中略)当該土地等について旧法第六十九条の四第一項の規定の適用がなく,かつ,同項に規定する建物等について同項の規定の適用があるものとした場合における(中略)相続税の課税価格に相当する金額に百分の七十の割合を乗じて算出した金額」とする旨の規定部分は,税負担が過大ともみえる事態を救済し,課税の実質的公平を図ることを目的とするものであるから,その立法目的は正当性を有し,また,その目的との関連において,前記規定部分が遺産に係る基礎控除を設けず,税率を一律に100分の70とする措置を採用したことは立法政策の問題であって,相続税の性格又は憲法14条1項,29条1項の規定からは,遺産に係る基礎控除を設けることや取得金額所定の超過累進税率とすることが当然に要求されるものではないから,改正法律附則19条3項は憲法14条1項,29条1項,2項にも違反しない。- 裁判所名
- 大阪高等裁判所
- 事件番号
- 平成7(行コ)65
- 事件名
- 相続税更正処分取消請求控訴事件
- 裁判年月日
- 平成10年4月14日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 相続税更正処分取消請求控訴事件|平成7(行コ)65
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