所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成14年(行ウ)第30号)|平成16(行コ)121
行政事件裁判例(裁判所)
平成17年6月16日 [所得税法][給与所得][一時所得][国税通則法][過少申告加算税]判示事項
外国法人の100パーセント子会社である日本法人の従業員が,前記外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を所得税法34条1項所定の一時所得として所得税の修正申告(平成13年3月9日)をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例裁判要旨
外国法人の100パーセント子会社である日本法人の従業員が,前記外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を所得税法34条1項所定の一時所得として所得税の修正申告(平成13年3月9日)をしたことにつき,前記権利行使益は給与所得に当たるとした上,ストックオプションの権利行使益の所得区分が一時所得に該当するという見解は,課税庁が10年以上の長期間にわたり採用していたものであり,種々の根拠が認められること,課税庁は,平成9年ころから平成11年ころにかけて,同権利行使益は給与所得に該当する旨見解を変更したものの,通達により国税庁の見解として公式に示されたのは,平成14年6月であること,最高裁判所の判断が示されたのは平成17年1月であることからすれば,このような場合にまで過少申告加算税を課すことになれば,納税者が過少申告加算税の賦課を恐れるあまり,課税庁の解釈に従わざるを得なくなり,課税庁の解釈を争い,司法判断を仰ぐ道を事実上閉ざすことになりかねず,不当であるから,前記修正申告において同権利行使益を一時所得として申告したことには国税通則法65条4項の「正当な理由」があるとした事例- 裁判所名
- 大阪高等裁判所
- 事件番号
- 平成16(行コ)121
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成14年(行ウ)第30号)
- 裁判年月日
- 平成17年6月16日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成14年(行ウ)第30号)|平成16(行コ)121
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>給与所得>一時所得>国税通則法>過少申告加算税)
- 土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期について時効を援用した平成9年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
- 原処分庁の調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかったとしても、国税通則法第65条第4項及び第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
- 税務署における資料の調査により請求人の給与所得の申告が漏れているものと判断した上で、尋ねたい事項や持参を求める書類を具体的に明記した文書を送付するなどの一連の過程から、国税通則法第65条第5項の「調査」があったと判断した事例
- 申告相談担当職員による誤った指導等はなく、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
- 還付を受けるための申告書を提出した者が更正を受けたときには、その者が消費税の課税事業者でない場合であっても、国税通則法第65条第1項にいう「納税者」に該当するとした事例
- 確定申告書の提出から1年経過後になされた過少申告加算税の賦課決定処分に不当はないと判断した事例
- 債権償却特別勘定の設定に関する税務署長の認定が相当期間なされなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
- 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
- 法定申告期限から3年を経過した後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものでないとして、過少申告加算税の賦課決定処分の全部を取り消した事例
- 修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
- 加算税の賦課決定処分に当たり、その計算の基礎とした「更正処分により納付すべき税額」には、更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれ、当該税額の還付を受けたか否かを問わないとした事例
- 調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものであると認定した事例
- 相続を原因とする所有権移転登記に係る登録免許税を不動産所得の必要経費に算入したことに基因する過少申告について正当な理由があるとした事例
- 相続人間において相続財産の帰属について係争中である場合でも、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項の「正当な理由」があるとはいえないとした事例
- 「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるとした事例
- 租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないとした事例
- 国税通則法第65条第4項にいう「正当な理由があると認められるものがある場合」には、過少に税額を申告したことが納税者の税法の不知又は誤解であるとか、納税者の単なる主観的な事情に基づくような場合までを含むものではないとした事例
- 法人税基本通達14−1−1の2ただし書が適用されると誤解して申告したことにつき国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」はないとした事例
- 過少申告加算税の対象となる相続税の税額は、申告期限までに納付すべき税額と納税猶予税額との合計額であるとした事例
- 還付申告書の提出による還付金を受け取っていない場合であっても、修正申告により還付金の額に相当する税額が減少する場合は過少申告加算税賦課の対象になるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。