譲渡所得(不動産)で節税
譲渡所得(不動産)で節税する。譲渡所得の取得費や特別控除、損益通算などについて。5年超の保有やマイホーム(居住用財産)の譲渡などの税制優遇措置を..

建物の賃貸借予約契約は、将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と認めることはできないので、本件土地を貸家建付地として評価することはできないとされた事例

[相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

1995/11/14 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]

裁決事例集 No.50 - 235頁

 請求人は、被相続人が建築中の本件建物について相続開始日前に賃貸借予約契約を締結し、相続開始日後に賃貸借契約を締結したが、その内容は予約契約とほとんど同じであり、予約金が敷金の一部に充当されているので、賃貸借予約契約は本件建物の竣工引渡日を賃料支払開始日とする賃貸借契約であるから、予約日に賃貸借契約が締結されたとみるべきであり、また、最終賃貸人は相続開始日までに独自で行う1階部分の造作工事の発注を行っており、本件建物に自由に立入ることが可能であったことから、少なくとも1階部分については引き渡されていたというべきであるから、本件建物の敷地は貸家建付地として評価すべきであると主張する。
 ところで、貸家建付地とは、借家権の目的となっている建物の敷地として利用されている現況にある宅地でなければならず、原則として、[1]完成した建物が存在していること、[2]賃借人が建物の引渡しを受けて現実に入居していることあるいは契約上の賃貸借開始期日が到来していること及び[3]通常の賃料に相当する金銭の授受があることあるいはその権利義務が発生していること等の要件をすべて具備する建物の敷地をいうものと解することができる。
 しかし、賃貸借予約契約は将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と解することはできず、仮に、賃貸借予約契約の締結をもって賃貸借契約の締結がされたと判断しても、相続開始日現在、本件建物は完成しておらず、賃料の支払いもされていないので、上記の要件のすべてを具備していないことになる。
 また、最終賃借人の造作工事の工事期間は平成3年9月1日から同年10月15日までと認められるから、相続開始日(平成3年8月10日)以前に本件建物の引渡しを受けて工事を着工していたと認めることはできず、仮に、工事会社が本件建物に立ち入っていたとしても、請求人は平成3年10月16日に本件建物の引渡しを受けたものであるから、最終賃借人が請求人から便宜の供与を受けたものとしか解せず、賃貸借に基づく占有が開始した結果とは認められない。
 したがって、本件宅地を貸家建付地として評価することはできない。

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
建物の賃貸借予約契約は、将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と認めることはできないので、本件土地を貸家建付地として評価することはできないとされた事例

関連するカテゴリ

関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)

  1. 取引相場のない株式の相続税の評価額について、特定の上場会社を比準会社として計算した評価額は採用できないとした事例
  2. 有限会社の出資の評価に当たって、賃借人である評価会社が賃借建物に設置した附属設備は、工事内容及び賃貸借契約からみて有益費償還請求権を放棄していると認められるから、資産として有額評価することは相当でないとした事例
  3. 関連会社の地上権の設定の有無について、本件は、当事者間の特殊な信頼関係に基づく土地の使用関係であって、地上権の設定の事実は認められないとした事例
  4. 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例(平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年4月18日裁決)
  5. 医療法人の出資持分の評価は財産評価基本通達に定める方法により算定した価額が相当であるとした事例
  6. 本件貸駐車場は、不整形地ではあるがその程度が比較的小さいので、不整形地補正は適用できず、また、本件賃貸マンションの敷地と一体利用とは認められないので、当該入居者の利用部分は貸家建付地の評価ができないとして請求人らの主張を排斥した事例
  7. 特定路線価の評定方法に不合理と認められる特段の事情がない限り特定路線価を正面路線価として評価するのが相当とした事例
  8. 上場株式等の現物出資及びその低額受入処理という相続税回避行為に係る非上場株式を純資産価額方式により評価するに当たり法人税等相当額を控除することは相当でないとした事例
  9. 「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」通達により、被相続人から土地を借り受けている同族法人の株式の評価上、純資産価額に計上される当該土地の価額の20%に相当する金額は、土地保有特定会社を判定する際の「土地等の価額」に含まれるとした事例
  10. 財産評価通達24−2により評価した土地区画整理事業の施行区域内の土地の評価額は、適正であるとされた事例
  11. 地方公共団体に貸し付けられている土地の価額について、何ら減損していないので借地権相当額を何ら減額すべき事由はなく、自用地としての価額と同額で評価するのが相当であるとした事例
  12. 建物の賃貸借予約契約は、将来の賃貸借契約を締結させる義務を確認するものであり、事実上の賃貸借契約の締結と認めることはできないので、本件土地を貸家建付地として評価することはできないとされた事例
  13. 定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
  14. 1. 本件贈与土地を評価するに当たり、過去3年分の路線価の平均額に基づいて算定することは相当ではないとした事例2. 本件土地の使用関係は、使用貸借であると認められるから、更地と同様に評価すべきであるとした事例
  15. 被相続人は相続開始の8年前に本件土地についてその同族会社を借地人とする建物保有目的の借地権を設定したが、相続開始時には当該会社の建物はなく、当該会社の代表者である請求人の建物が存していたなどの事情に照らし、当該借地権は相続財産評価において借地権と評価する実質を欠いているとして、本件土地は自用地として評価すべきであるとした事例
  16. 評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例(平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成27年11月25日裁決)
  17. 評価対象地は、標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大とは認められないから広大地に該当しないとした事例
  18. 相当の地代を支払って賃借していた土地に係る借地権につき相続税の課税価格に算入される価額はないとした事例
  19. 堅固な建物の存する土地に隣接する駐車場については借地権が存在しないとした事例
  20. 協業組合の出資の評価については、評価基本通達179を適用して評価することが相当とした事例

※最大20件まで表示

税法別に税務訴訟事例を調べる

当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。


戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:333
昨日:414
ページビュー
今日:780
昨日:1,140

ページの先頭へ移動