譲渡所得(株式等)とは
株式等を売却した場合、所得税(譲渡所得)が課税されます。課税方法は分離課税となります。
- No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税) | タックスアンサー(国税庁)
譲渡所得(株式等)の計算
譲渡所得(株式等)は以下のように計算します。
所得税率(分離課税)は以下の通りです。
譲渡所得(株式等)の取得費
取得費には、株式等の購入代金や購入手数料のほか購入時の名義書換料などを含みます。
なお、株式等の取得費が分からないときや取得額が売却額の5%より少ない場合、売却額の5%を取得費とすることができるので、節税効果は高くなります。
- No.1464 譲渡した株式等の取得費 | タックスアンサー(国税庁)
同一銘柄を複数回購入し、その一部を譲渡した場合の取得費は「取得単価×売却株数」で計算します。
取得単価は、以下のように計算します。
- 取得単価=(A+B)÷(C+D)
- A=一番最初の購入総額(※その銘柄を既に譲渡済みの場合は「直前の取得単価×残株数」)
- B=Aより後に購入した今回の譲渡までの購入総額
- C=Aに係る株数
- D=Bに係る株数
- No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費 | タックスアンサー(国税庁)
譲渡所得(株式等)の特例
譲渡所得(株式等)の特例のうち、主なものは以下の通りです。
- NISA(少額投資非課税制度)
- 特定口座制度
- 譲渡損失と配当所得との損益通算
- 譲渡損失の繰越控除
- 破産等により株式の価値が失われたときの特例
NISA(少額投資非課税制度)で節税する
NISAで取り扱われている株式等の売却益は非課税なので、節税対策として非常に優れています。
ただし、損益通算や
外国税額控除の対象外であったり、非課税期間が5年間に限定されるなどのデメリットがあります。
NISA(少額投資非課税制度)が始まりました!|金融庁
www.fsa.go.jp/policy/nisa/ 確定拠出年金で取り扱われている投資信託の売却益は非課税なので、節税対策として非常に優れています。
ただし、原則的に60歳までは中途解約できないなどのデメリットがあります。
確定拠出年金制度の概要|厚生労働省
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin... 特定口座制度で節税する
特定口座を開設すれば、その特定口座内の株式等の売却益については、他の所得と区分して証券会社が計算してくれます。
- No.1476 特定口座制度 | タックスアンサー(国税庁)
更に、特定口座内で生じる所得について「源泉徴収あり」を選択すれば、確定申告は原則不要となるので、申告する手間が省けます。しかも、「源泉徴収あり」の売却益は合計所得金額に含まれないので、扶養控除等の関係で合計所得金額を抑制したい場合には節税効果が高まります。
特定口座において譲渡損失が発生した場合など、確定申告して繰越控除や損益通算の適用を受けることも可能ですので、特定口座を「源泉徴収あり」で開設することにデメリットはありません。
この他のメリットとして、特定口座に限り、「破産等により株式の価値が失われたときの特例」の適用を受けることができます。
破産等で上場廃止になっても、特定管理口座を開設するなど一定の要件を満たせば、その損失について他の株式等の売却益と損益通算が可能となる制度です。
No.1475 破産等により株式の価値が失われたときの特例
www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1475.htm 譲渡所得(株式等)の損益通算で節税する
株式等の譲渡損失が出た場合、他の譲渡所得(株式等)と損益通算は可能ですが、原則的に他の所得(事業所得や
給与所得など)と損益通算できません。
- No.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い | タックスアンサー(国税庁)
ただし、
配当所得との損益通算は可能です。この場合、
配当所得は分離課税で確定申告する必要があります。
譲渡所得(株式等)の繰越控除で節税する
株式等の譲渡損失が出た場合で、
配当所得(分離課税)との損益通算後も、なおも控除できない損失については、繰越控除が3年間できます。
- No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除 | タックスアンサー(国税庁)
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