配当所得とは
配当金を受け取った場合、所得税(配当所得)が課税されます。なお、配当金を受け取る際に、所得税が源泉徴収されます。
- No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得) | タックスアンサー(国税庁)
代表的な配当所得は、以下の通りです。
- 国内外の株式の配当金
- 国内外の上場投資信託(ETF)の分配金
- 国内外の投資信託の分配金
配当所得は、原則的に確定申告(総合課税)が必要ですが、確定申告不要制度を選択することも可能です。一般的には、手間がかからない源泉徴収だけで、確定申告しないケースが多いように思われます。
複数の申告制度を使い分けて節税する
上場
株式等の配当等については、確定申告(分離課税)を選択することも可能です。すなわち、以下の3つの中から自由に選べる訳です。
- 確定申告(総合課税)
- 確定申告(分離課税)
- 確定申告不要制度(申告不要)
- No.1331 上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度 | タックスアンサー(国税庁)
3つの申告制度の主な特徴は以下の通りです。
項目 | 総合課税 | 分離課税 | 申告不要 |
確定申告 | 必要 | 不要 |
税率 | 累進税率 | 20.315% |
配当控除 | あり | なし |
損益通算*1 | なし | あり | なし |
扶養判定*2 | 含まれる | 含まれない |
利子控除*3 | あり | なし |
*1 損益通算:上場
株式等の譲渡損失との損益通算
*2 扶養判定:扶養控除等の判定に使われる合計所得金額に含まれるか否か
*3 利子控除:
株式などを取得するための借入金の利子の控除
申告制度別に、節税に繋がると思われるケースを以下に列挙します。
1. 確定申告(総合課税)
- 配当控除を受ける方が節税になる場合。
- 株式などを取得するための借入金の利子を控除する方が節税になる場合。
- 総所得金額(配当所得を含む所得の合計)が多くない場合(※500万円以下が目安)。
2. 確定申告(分離課税)
- 総所得金額(配当所得を含む所得の合計)が多い場合(※500万円超が目安)。
- 上場株式等の譲渡損失がある場合。
- 株式などを取得するための借入金の利子を控除する方が節税になる場合。
3. 確定申告不要制度(申告不要)
- 確定申告の手間を省きたい場合。
- 総所得金額(配当所得を含む所得の合計)が多い場合(※500万円超が目安)。
- 扶養控除等の関係で合計所得金額を抑制したい場合。
配当所得において、どの申告制度を選択するかは、申告不要時の税率「20.315%」を目安に検討することをお勧めします。なお、
一括節税計算機では、所得別の実効税率を手軽に確認することができます。
確定拠出年金で取り扱われている投資信託の分配金は非課税なので、節税対策として非常に優れています。
ただし、原則的に60歳までは中途解約できないなどのデメリットがあります。
確定拠出年金制度の概要|厚生労働省
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin... NISA(少額投資非課税制度)で節税する
NISAで取り扱われている投資信託の分配金は非課税なので、節税対策として非常に優れています。
ただし、損益通算や
外国税額控除の対象外であったり、非課税期間が5年間に限定されるなどのデメリットがあります。
NISA(少額投資非課税制度)が始まりました!|金融庁
www.fsa.go.jp/policy/nisa/ 配当控除で節税する
確定申告(総合課税)を選択した場合、一定の金額の配当控除を受けることができます。
- No.1250 配当所得があるとき(配当控除) | タックスアンサー(国税庁)
配当控除の対象とならないものは以下の通りです。
- J-REIT(不動産投資信託)の分配金。
- 外国の会社等から受け取る配当金(分配金)。
- 確定申告不要制度を選択したもの。
配当控除は以下のように計算します。
課税総所得金額*1が1,000万円以下の場合
- 配当控除=(国内株式等*2×10%)+(証券投資信託*3×5%)+(外貨建証券投資信託*4×2.5%)
*1 課税総所得金額:総所得金額+配当所得(分離)+譲渡所得(土地)+譲渡所得(
株式)+雑所得(
FX等)
*2 国内
株式等:国内
株式100%(*国内
株式or特定
株式投資信託)
*3 証券投資信託:①外貨建50%以下&②非
株式50%以下
*4 外貨建証券投資信託:①外貨建25%以下&②非
株式25%以下
課税総所得金額が1,000万円超の場合
イ 国内
株式等-(課税総所得金額-1,000万円)
ロ 国内
株式等-イ
*イがマイナスの場合は0円
*証券投資信託については控除率が異なる場合あり
外国の会社等から受け取る配当金は、二重課税されている可能性があります。外国と国内の2ヶ所で、源泉徴収されている場合、
外国税額控除を利用して税金を取り戻すことが可能です。
- No.1240 外国税額控除 | タックスアンサー(国税庁)
外国税額控除の限度額は、原則として、以下の通りです。
ただし、上記限度額を超える場合、上記限度額に、以下のいずれか低い額を足したものが、控除限度額となります。
- 外国源泉徴収税額-上記限度額
- 復興特別所得税額×(国外所得金額÷所得総額)
また、ブラジルや中国、フィリピンの会社等から受け取る配当金については、みなし
外国税額控除により税制優遇されています。詳しくは
外国税額控除で節税をご確認ください。
- 外国税額控除で節税
- 外国税額控除で節税する。外国税額控除の限度額や手続き、対象とならない税金、みなし外国税額控除(ブラジルや中国、フィリピンが発行する円建て外債等)について。
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