No.1240 外国税額控除|所得税
タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]
1 外国税額控除とは
居住者は、所得の生じた場所が国内であるか、国外であるかを問わず全ての所得について日本で課税されますが、国外で生じた所得について外国の法令で所得税に相当する租税(以下「外国所得税」といいます。)の課税対象とされる場合、日本及びその外国の双方で二重に所得税が課税されることになります。
この国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税の額(一定の場合には、所得税の額及び復興特別所得税の額)から差し引くことができます。これを外国税額控除といいます。
(注) 復興特別所得税とは、所得税額に対する付加税で、平成25年から平成49年までの各年分の基準所得税額(原則として、その年分の所得税額)の2.1%を所得税と併せて申告・納付するものです。
※国外転出をする場合の譲渡所得等の課税の特例(以下「国外転出時課税」といいます。)の対象となった資産の譲渡等により生じる所得に係る外国所得税(日本以外の国又は地域の居住者等として課されるものに限ります。)を納付することとなる場合で、その外国所得税額の計算に当たって国外転出時課税の適用を受けたことが考慮されないなど一定の要件を満たすときは、当該外国所得税額を国外転出の日の属する年において納付することとなるものとみなして外国税額控除の計算をすることができる制度があります。詳しくはコードNo.1478(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)を参照ください。
2 外国税額控除の計算方法
外国税額控除額の計算は、外国所得税の額が、次の算式により計算した所得税の控除限度額を超えるか否かによって異なります。
所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)
- (1) 外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合
外国税額控除額は、外国所得税の額となります。 - (2) 外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合
外国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次の又はのいずれか少ない方の金額の合計額となります。
- (注1) 「その年分の所得税の額」とは、配当控除や住宅借入金等特別控除等の税額控除、及び災害減免法による減免税額を適用した後の額をいいます。
- (注2) 「その年分の所得総額」とは、純損失の繰越控除や居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用前の、その年分の総所得金額、分離長期(短期)譲渡所得の金額(特別控除前の金額)、株式等に係る譲渡所得等の金額、分離課税を選択した上場株式に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をいい、その合計額が「その年分の国外所得総額」に満たない場合には、「その年分の国外所得総額」に相当する金額をいいます。
- (注3) 「その年分の国外所得総額」とは、純損失の繰越控除や居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用前の、その年において生じた国内源泉所得以外の課税対象となる総所得金額、分離長期(短期)譲渡所得の金額(特別控除前の金額)、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をいいます。
- (注4) 外国税額控除の対象となる外国所得税は、外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により個人の所得を課税標準として課税されるもの及びそれらに準ずるものをいいますが、次に掲げるようなものは外国税額控除の対象にはなりません。
- 税を納付する人が、納付後、任意にその税額の還付を請求することができるもの
- 税を納付する人が、納付が猶予される期間を任意に定めることができるもの
- 複数の税率の中から納税者と外国当局等との合意により税率が決定された税(複数の税率のうち最も低い税率を上回る部分に限ります。)
- 加算税や延滞税などの附帯税に相当するもの
- 金融取引における仕組み取引などの通常行われる取引とは認められない不自然な取引に基因して生じた所得に対して課されたもの
- 出資の払戻し等、資本等取引に対して課されるもの
- その年以前の非居住者期間に生じた所得に対するもの
- 租税条約により外国税額控除の適用がないとされたもの
3 外国税額控除の繰越控除
外国税額控除は、外国所得税を納付することとなる年においてその年分の所得税額(外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合には、所得税の額及び復興特別所得税の額)から一定額を差し引くものですが、国外所得が生じた年と外国所得税を納付することとなる年が一致するとは限りません。そのような国外所得の発生年と外国所得税の納付年との年分の違いを調整するため、外国所得税の額と所得税の控除限度額との差額のうち一定額を翌年以降3年間繰り越すことができます。
(1) 外国所得税の額が控除限度額を超える場合
その年において納付することとなる外国所得税の額が、その年の所得税の控除限度額及び復興特別所得税の控除限度額と地方税控除限度額(その年の所得税の控除限度額の30%)との合計額を超える場合、その年の前年以前3年内の各年の所得税控除限度額のうち、その年に繰り越される部分の金額(以下「繰越控除限度額」といいます。)があるときは、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から差し引くことができます。
(2) 外国所得税の額が控除限度額に満たない場合
その年において納付することとなる外国所得税の額が、その年の所得税の控除限度額に満たない場合、その年の前年以前3年内の各年において納付することとなった外国所得税の額で各年において控除しきれなかった金額(以下「控除限度超過額」といいます。)があるときは、その控除限度超過額の合計額(以下「繰越外国所得税額」といいます。)を一定の範囲内でその年分の所得税の額から差し引くことができます。
4 外国所得税額が減額された場合
外国税額控除の適用を受けた年の翌年以後7年内の各年において、その適用を受けた外国所得税の額が減額された場合には、その減額されることとなった日の属する年分における外国税額控除の適用及び所得金額の計算は、次のとおりです。
- (1) 外国所得税の額が減額された場合には、その減額されることとなった日の属する年(以下「減額に係る年」といいます。)において納付することとなる外国所得税の額(以下「納付外国所得税額」といいます。)から、その減額された外国所得税の額(以下「減額外国所得税額」といいます。)に相当する金額を控除し、その控除後の金額につき外国税額控除を適用します。
- (2) 減額に係る年に納付外国所得税額がない場合又は納付外国所得税額が減額外国所得税額に満たない場合には、減額に係る年の前年以前3年内の各年の控除限度超過額から控除します。
- (3) 減額外国所得税額のうち上記(1)及び(2)の調整に充てられない部分の金額がある場合には、その金額を減額に係る年分の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
5 外国税額控除を受けるための手続
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外国税額控除を受けるためには、確定申告書等に控除を受ける金額及びその計算に関する明細を記載をした「外国税額控除に関する明細書等(PDF/181KB)」、外国所得税を課されたことを証する書類及び国外所得総額の計算に関する明細書などを添付する必要があります。
また、3で述べたような繰越控除限度額や繰越外国所得税額がある場合は、それらが生じた年のうち最も古い年分以後の各年分について、その各年の控除限度額や納付することとなった外国所得税の額を記載した書類の添付があり、かつ、これら外国税額控除の繰越控除の適用を受けようとする年分の確定申告書等にこれらの規定による控除を受けるべき金額を記載した「外国税額控除に関する明細書等(PDF/181KB)」及び外国所得税を課されたことを証する書類を添付する必要があります。
(所法44の2、95、95の2、所令93の2、221〜226の2、所規41、42、所基通95-6、95-7、95-14、95-15、復興財確法13、14、復興所得税令3)
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出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm
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