第16条関係 法定納期限等以前に設定された抵当権の優先|国税徴収法
基本通達(国税庁)
抵当権の優先
(抵当権)
1 法第16条の「抵当権」とは、民法第369条《抵当権の内容》、鉄道抵当法第17条《抵当権の内容》、自動車抵当法第4条《抵当権の内容》、航空機抵当法第4条《抵当権の内容》及び建設機械抵当法第6条《抵当権の内容》に規定する抵当権(民法第398条の2、鉄道抵当法第25条ノ2、自動車抵当法第19条の2、航空機抵当法第22条の2及び建設機械抵当法第24条の2に規定する根抵当権を含む。)をいい、その目的物には、不動産、地上権及び永小作権(民法第369条第2項)、立木(立木ニ関スル法律(以下「立木法」という。)第2条第2項)、工場財団(工場抵当法第14条第2項)、鉱業財団(鉱業抵当法第3条)、漁業財団(漁業財団抵当法第6条)、道路交通事業財団(道路交通事業抵当法第9条)、港湾運送事業財団(港湾運送事業法第23条)、鉱業権(採掘権に限る。鉱業法第13条)、漁業権(漁業法第23条第1項)、採石権(採石法第4条第3項)、ダム使用権(特定多目的ダム法第21条)、鉄道財団(鉄道抵当法第4条)、軌道財団(軌道ノ抵当ニ関スル法律第1条)、運河財団(運河法第13条)、工場財団を組成しない工場(工場抵当法第2条)、船舶(商法第848条)、自動車(自動車抵当法第3条)、航空機(航空機抵当法第3条)、建設機械(建設機械抵当法第5条)、農業用動産(農業動産信用法第12条)並びに観光施設財団(観光施設財団抵当法第9条)がある。
なお、上記の「抵当権」には、仮登記(保全仮登記を含む。)がされた抵当権も含まれる(法第133条第3項、令第50条第4項参照)。
(抵当権を設定している場合)
2 法第16条の「抵当権を設定しているとき」には、納税者に対する債権について納税者の財産の上に抵当権を設定している場合のほか、納税者以外の者に対する債権について納税者の財産の上に抵当権を設定している場合(納税者が物上保証人になっている場合)も含まれる。
(法定納期限等以前の設定)
3 法第16条の「法定納期限等以前」には、その法定納期限等に当たる日を含む。したがって、その日に設定された抵当権も、法定納期限等以前に設定された抵当権となる。
(物上代位の目的物に対する差押えが競合する場合の優先関係)
4 抵当権の物上代位の目的物に対する差押えと当該目的物に対する滞納処分による差押えとが競合した場合における優先関係は、第15条関係19と同様である(平成11.3.26東京地判参照)。
(滞納処分と担保不動産収益執行が競合する場合の優先関係)
5 担保権の目的となった不動産から生ずる賃料債権について、滞納処分による差押えと担保権の実行としての担保不動産収益執行(執行法第180条第2号)が競合した場合における優先関係は、第15条関係19と同様である。
債権の範囲
(換価代金)
6 法第16条の「換価代金」には、抵当権の設定された財産のほか、従物、付加物等抵当権の効力の及んでいるものの換価代金も含まれる(民法第370条参照)。
(抵当権によって担保される債権額)
7 抵当権により担保される債権の範囲については、次のことに留意する。
(1) 抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてだけその抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金であっても、満期後特別の登記をしたときは、その登記の時からこれを行使することを妨げない(民法第375条第1項)。
なお、次のことに留意する。
- イ 利息については、原則として、利率及び支払時期の登記がある場合に限り、他の債権者に優先して弁済を受けられること。
- ロ 遅延利息については、法定利率により計算された額の範囲内ではその登記を要しないで抵当権の効力が及び、他の債権者に優先して弁済を受けられるが、期限後利率を高める特約及び違約金については、その登記がある場合に限り、他の債権者に優先して弁済を受けられること。
(2) 民法第375条第1項《被担保債権の範囲》の規定は、抵当権者が債務の不履行により生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合において、その最後の2年分についても適用される。ただし、利息その他の定期金と併せて2年分を超えることはできない(同法第375条第2項)。
(根抵当権によって担保される債権)
8 根抵当権により担保される債権の範囲は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度とする(民法第398条の3第1項)。したがって、利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償については、極度額の範囲内であれば、抵当権のように最後の2年分に限定されることはない。
なお、極度額を超える債権がある場合において、換価代金等を配当して残余が生じ、かつ、後順位債権者がいないとしても、その極度額を超える部分については配当しないことに留意する(昭和48.10.4最高判参照)。
抵当権の設定時期
9 抵当権の設定の時期は、その登記がされた日によるものとする。また、抵当権設定の仮登記又は抵当権設定請求権保全の仮登記がされた後において、その仮登記に基づく本登記がされたときのその抵当権の設定の時期は、その仮登記がされた日によるものとする(不動産登記法第106条等)。
徴収職員の調査
10 法第16条の規定の適用については、抵当権者の証明を要件とするものではない。
なお、徴収職員は、抵当権の設定の事実及びその設定の時期が国税の法定納期限等以前であるかどうかにつき、登記により調査の上確認しなければならない。
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/chosyu/index.htm
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