第38条《延納の要件》関係|相続税法
基本通達(国税庁)
(相続税額が10万円を超えるかどうかの判定)
38−1 法第38条第1項に規定する「納付すべき相続税額が10万円を超え」るかどうかは、期限内申告書、期限後申告書又はこれらの申告書に係る修正申告書により申告された相続税額若しくは更正又は決定により納付すべき相続税額のそれぞれについて各別に判定するのであるから留意する。
また、同条第3項に規定する「納付すべき贈与税額が10万円を超え」るかどうかの判定についても、これに準ずるのであるから留意する。(昭46直審(資)6、昭50直資2−257、昭57直資2−177、平元直資2−207、平4課資2−158・徴管5−6、平18徴管5−14改正)
(延納の許可限度額の計算)
38−2 法施行令第12条に規定する延納の許可限度額の算出方法を算式で示せば、次のとおりである。(平4課資2−158・徴管5−6追加、平18徴管5−14改正)
A−{(B+C+D)−([E×3]+F)}
(注) 算式中の符号は次のとおりである。
Aは、法施行令第十二条第1項第1号に掲げる額
Bは、納税義務者がAに係る納期限又は納付すべき日において有する現金の額。
なお、ここにいう現金とは、強制通用力を有する日本円を単位とする通貨のほか、証券ヲ以テスル歳入納付ニ関スル法律(大正5年法律第10号)により国税の納付に充てることのできる証券を含むものとする。
Cは、納税義務者がAに係る納期限又は納付すべき日において有する預貯金の額。
なお、ここにいう預貯金とは、法第10条第1項第4号に規定する金融機関等に対する預金、貯金、積金、寄託金又は貯蓄金をいう。
Dは、納税義務者がAに係る納期限又は納付すべき日において有する換価の容易な財産の価額。
なお、ここにいう換価の容易な財産とは、次のような財産をいう。
・ 評価が容易であり、かつ、市場性のある財産で速やかに売却等の処分をすることができるもの
・ 納期限又は納付すべき日において確実に取り立てることができると認められる債権
・ 積立金・保険等の金融資産で容易に契約が解除でき、かつ、解約等による負担が少ないもの
おって、許可限度額の計算に当たっては、納期限又は納付すべき日における当該財産の時価(又は債権額)相当額により行うものとする。
Eは、生活のため通常必要とされる1月分の費用。
なお、生活のため通常必要とされる1月分の費用とは、次のの額からの額を控除した額とする。
国税徴収法(昭和三十四年法律第一四七号)第76条第1項第1号から第4号までの規定に基づき算出される金額相当額(前年の収入金額、所得税、地方税及び社会保険料の額に1/12を乗じた額に基づき計算するものとする。なお、申請者が給与所得者でない場合は、その事業等に係る収入金額等を給与等とみなして計算するものとする。)に治療費、養育費、教育費並びに申請者及び申請者と生計を一にする配偶者その他の親族の資力・職業・社会的地位等の個別事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の金額を加味した額
申請者と生計を一にしている収入のある配偶者及び申請者(配偶者を含む。)の扶養控除の対象とならない親族に係る生活費の額並びに申請者(配偶者を含む。)の扶養控除の対象となる親族に係る生活費の額のうち配偶者が負担する額
(注) の額に申請者及び申請者と生計を一にする配偶者その他の親族の1月分収入額の合計額に占める申請者の1月分収入額の割合を乗じた額を用いて差し支えない。
Fは、事業の継続のために当面必要な運転資金の額。
なお、事業の継続のために当面必要な運転資金の額とは、事業の内容に応じた事業資金の循環期間の中で事業経費の支払や手形等の決済のための資金繰りが最も窮屈になる日のために留保を必要とする資金の額をいい、Aに係る納期限又は納付すべき日の翌日から資金繰りの最も窮屈になると見込まれる日までの期間の総支出見込金額から総収入見込金額を差引いた額(前年同時期の事業の実績を踏まえて推計した額による。)とする。
(注) 前年の申告所得税の確定申告等に係る収支内訳書等から求めた1年間の事業に係る経費の中から、臨時的な支出項目及び減価償却費を除いた額を基礎とし、最近の事業の実績に変動がある場合には、その実績を踏まえて算出した額を加味した額に1/12(商品の回転期間が長期にわたること等の場合は事業の実態に応じた月数/12月)を乗じた額を用いて差し支えない。
(相続又は遺贈により取得した財産に含める贈与財産)
38−3 法第19条の規定により相続税の課税価格に加算される贈与財産で法第21条の2第4項の規定の適用があるもののうちに不動産、立木等法施行令第13条に規定する財産がある場合においては、当該財産は、法第38条第1項に規定する「相続又は遺贈により取得した財産」に含むのであるから留意する。
また、相続開始の年において、特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産のうちに不動産、立木等法施行令第13条に規定する財産がある場合についても、これに準ずるのであるから留意する。 (昭46直審(資)6、昭50直資2−257、平4課資2−158・徴管5−6改正、平15課資2−1・徴管5−7、平18徴管5−14改正)
(たな卸資産である不動産)
38−4 法第38条に規定する「不動産」には、たな卸資産である不動産を含むのであるから留意する。(昭57直資2−177追加、平4課資2−158・徴管5−6、平18徴管5−14改正)
(連帯納付義務者の延納等)
38−5 法第38条の相続税及び贈与税の延納の規定は、連帯納付の責めに任ずる者のその責めに任ずべき金額については適用がないのであるから留意する。
また、期限後申告又は修正申告若しくは更正又は決定により納付すべき相続税額に併せて納付すべき延滞税又は加算税についても適用がないのであるから留意する。(平4課資2−158・徴管5−6、平7課資2−119・徴管5−5改正)
(延納期間の計算)
38−6 法第38条第1項又は第3項の規定による延納期間は、法第33条又は通則法第35条第2項に規定する納期限の翌日から暦に従って計算するのであるから留意する。(昭46直審(資)6、平18徴管5−14改正)
(不動産等の価額の計算)
38−7 法第38条第1項前段のかっこ書の規定により、延納期間を延長することができる場合の「不動産等の価額」を計算するに当たり、法施行令第13条の「事業用の減価償却資産」とは、被相続人の事業の用に供されていた所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産をいうのであるから留意する。(平7課資2−119・徴管5−5追加、平18徴管5−14改正)
(不動産等の割合を計算する場合の端数処理)
38−8 法第38条第1項に規定する「課税相続財産の価額」及び「不動産等の価額」並びに「不動産等の価額が占める割合」を計算するに当たり、当該価額及び割合の端数処理は次により行うのであるから留意する。(平7課資2−119・徴管5−5追加、平8課資2−116・徴管5−6、平18徴管5−14改正)
(1) 不動産等の価額の占める割合が10分の5以上であるか否かについては、端数処理を行わずに判定する。
(2) (1)により判定した結果、不動産等の価額の占める割合が10分の5以上である場合において、同項前段のかっこ書の規定を適用するときには、次により端数処理を行う。
それぞれの価額に1,000円未満の端数がある場合には、それぞれその端数を切り捨てる。
割合については、小数点以下第3位未満の端数があるときは、その端数を切り上げて計算する。
(注) 課税相続財産の価額のうちに、措置法第70条の8の2又は第70条の10の適用を受ける価額がある場合、これに準じて端数処理を行うのであるから留意する。
(代償分割が行われた場合の不動産等の割合の計算)
38−9 代償分割の方法により相続財産の全部又は一部の分割が行われた場合における法第38条第1項に規定する「不動産等の価額が占める割合」の計算は、次に掲げる者の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。(平7課資2−119・徴管5−5追加)
(1) 代償財産の交付を受けた者 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額をもって計算する。
(2) 代償財産の交付をした者 相続又は遺贈により取得した財産中、代償分割の対象とならなかった財産の価額と代償分割の対象となった財産の価額から代償財産の価額に相当する金額をそれぞれの種類ごとに控除して計算した価額との合計額をもって計算する。この場合、当該代償分割が包括的に行われた場合には、その代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産の価額によってあん分して計算した額による。
(贈与税の延納期間)
38−10 贈与税の延納期間は、納税義務者の申請に基づき、その者の事業の継続又は生活の状況等を考慮し、5年の範囲内で適当と認められる期間を定めるものとする。
(贈与税の延納年割額)
38−11 法第38条第2項の延納年割額に関する規定は、贈与税の年賦延納については適用がないのであるから留意する。
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01.htm
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