第19条の2《配偶者に対する相続税額の軽減》関係 |相続税法
基本通達(国税庁)
(相続税額の軽減の対象となる配偶者の範囲)
19の2−1 法第19条の2の配偶者に対する相続税額の軽減の規定は、財産の取得者が無制限納税義務者又は制限納税義務者のいずれに該当する場合であっても適用があるのであるから留意する。(昭41直審(資)5、昭42直審(資)55改正、平15課資2−1改正)
(内縁関係にある者)
19の2−2 法第19条の2第1項に規定する配偶者は、婚姻の届出をした者に限るものとする。したがって、事実上婚姻関係と同様の事情にある者であっても婚姻の届出をしていないいわゆる内縁関係にある者は、当該配偶者には該当しないのであるから留意する。(平15課資2−1改正)
(配偶者に対する相続税額の軽減)
19の2−3 配偶者に対する相続税額の軽減の規定は、配偶者が相続を放棄した場合であっても当該配偶者が遺贈により取得した財産があるときは、適用があるのであるから留意する。(昭41直審(資)5、昭42直審(資)5改正)
(配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額の計算の基礎とされる財産)
19の2−4 法第19条の2第1項第2号ロに規定する「当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」の計算の基礎とされる財産とは、当該配偶者が取得した次に掲げる財産をいうのであるから留意する。(昭47直資2−130追加、昭50直資2−257、平6課資2−114改正)
- (1) 当該相続又は遺贈に係る法第27条の規定による申告書の提出期限までに当該相続又は遺贈により取得した財産のうち分割により取得した財産
- (2) 当該相続に係る被相続人の相続人が当該被相続人の配偶者のみで包括受遺者がいない場合における当該相続により取得した財産
- (3) 当該相続に係る被相続人の包括受遺者が被相続人の配偶者のみで他に相続人がいない場合における当該包括遺贈により取得した財産
- (4) 当該相続に係る被相続人からの特定遺贈により取得した財産
- (5) 法第19条の規定により相続開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により取得した財産の価額が相続税の課税価格に加算された場合における当該財産
- (6) 法の規定により当該相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産
- (7) 当該相続又は遺贈に係る法第27条の規定による申告書の提出期限から3年以内(当該期間が経過するまでの間に財産が分割されなかったことにつきやむを得ない事情がある場合において、税務署長の承認を受けたときは、当該財産につき分割できることとなった日の翌日から4月以内)に分割された場合における当該分割により取得した財産
(配偶者が財産の分割前に死亡している場合)
19の2−5 相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によって分割される前に、当該相続(以下19の2−5において「第1次相続」という。)に係る被相続人の配偶者が死亡した場合において、第1次相続により取得した財産の全部又は一部が、第1次相続に係る配偶者以外の共同相続人又は包括受遺者及び当該配偶者の死亡に基づく相続に係る共同相続人又は包括受遺者によって分割され、その分割により当該配偶者の取得した財産として確定させたものがあるときは、法第19条の2第2項の規定の適用に当たっては、その財産は分割により当該配偶者が取得したものとして取り扱うことができる。(昭47直資2−130追加、昭50直資2−257、昭57直資2−177、平17課資2-4改正)
(注) 第1次相続に係る被相続人の配偶者が死亡した後、第1次相続により取得した財産の全部又は一部が家庭裁判所における調停又は審判(以下19の2−5において「審判等」という。)に基づいて分割されている場合において、当該審判等の中で、当該配偶者の具体的相続分(民法第900条から第904条の2((寄与分))までに規定する相続分をいう。以下19の2−5において同じ。)のみが金額又は割合によって示されているにすぎないときであっても、当該配偶者の共同相続人又は包括受遺者の全員の合意により、当該配偶者の具体的相続分に対応する財産として特定させたものがあるときは上記の取扱いができることに留意する。
(配偶者に係る課税価格に相当する金額を計算する場合の債務控除等の方法)
19の2−6 被相続人の配偶者が当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得している場合において、当該相続又は遺贈に係る法第27条の規定による申告書の提出期限までに、当該相続又は遺贈により取得した財産の一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていないときにおける法第19条の2第1項第2号ロに規定する配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額を計算するときの法第13条の規定により債務として控除する金額は、まず法第19条の2第2項の規定により同条第1項第2号ロの課税価格の計算の基礎とされる財産に含まれないものとされる財産の価額から控除し、これにより控除しきれない金額があるときは、その金額を当該課税価格の計算の基礎とされる財産の価額から控除するものとする。
なお、当該配偶者が代償分割に基づいて他の相続人に対して負担する代償財産を給付する債務は、法第19条の2の第1項2号ロの課税価格の計算の基礎とされる財産の価額から控除するものとする。(昭47直資2−130追加、昭57直資2−177、平6課資2−114改正)
(配偶者の税額軽減額の計算方法)
19の2−7 法第19条の2第1項第2号に規定する「当該相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額」の算出方法を算式で示すと、次のとおりである。 (昭47直資2−130追加、昭50直資2−257、平6課資2−114改正、平15課資2−1、平19課資2−5、課審6−3、平19課資2−5、課審6−3改正)
(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
- Aは、当該相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下19の4─4までにおいて同じ。)により財産を取得したすべての者に係る相続税の総額
- Bは、当該相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額(当該合計額に1,000円未満の端数があるとき又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。以下19の2─7の2において同じ。)
- Cは、法第19条の2第1項第2号イに掲げる金額
- Dは、法第19条の2第1項第2号ロに掲げる金額
(隠ぺい仮装行為があった場合の配偶者の税額軽減額の計算方法)
19の2−7の2 法第19条の2第5項の規定の適用がある場合における配偶者の税額軽減額は、19の2─7の算式中AからDの金額をそれぞれ次に掲げる金額に読み替えて計算したところの金額によることに留意する。(平19課資2−5、課審6−3追加)
- (1) Aの金額 次の算式により算出した相続税の課税価格の合計額に係る相続税の総額(当該金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。)
a−(b+c) - (2) Bの金額 上記(1)の算式により算出した相続税の課税価格の合計額
- (3) Cの金額 次の算式により算出した金額(当該金額に1,000円未満の端数があるとき又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。)に民法第900条の規定による被相続人の配偶者の相続分(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続分とする。)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額とする。)に相当する金額と1億6000万円のいずれか多い金額
a−(d+e) - (4) Dの金額 次の算式により算出した金額(当該金額に1,000円未満の端数があるとき又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。)
f−(g+e)
(注)算式中の符号は次のとおりである。
- aは、法第19条の2第1項第2号イの「課税価格の合計額」(当該合計額の基となった各人の課税価格について通則法第118条第1項の規定による端数処理を行っている場合には、当該処理をする前の金額の合計額とする。)
- bは、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者(以下19の2−7の2において「納税義務者」という。)が相続又は遺贈により取得した財産の価額のうち被相続人の配偶者が行った法第19条の2第6項に規定する隠ぺい仮装行為による事実に基づく金額(以下19の2─7の2において「隠ぺい仮装行為に係る金額」という。)と当該納税義務者の債務及び葬式費用のうち当該配偶者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額との合計額(当該合計額が当該納税義務者に係る相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額(法第13条第1項又は第2項の規定の適用がある場合にはこれらの規定による控除後の金額をいう。以下19の2─7の2において「純資産価額」という。)を上回る場合には、当該納税義務者に係る純資産価額とする。)
- cは、納税義務者につき法第19条の規定により相続税の課税価格に加算される財産の価額のうち被相続人の配偶者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額
- dは、被相続人の配偶者が相続又は遺贈により取得した財産の価額のうち納税義務者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額と当該配偶者の債務及び葬式費用のうち当該納税義務者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額との合計額(当該合計額が当該配偶者に係る純資産価額を上回る場合には、当該配偶者に係る純資産価額とする。)
- eは、被相続人の配偶者につき法第19条の規定により相続税の課税価格に加算される財産の価額のうち納税義務者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額
- fは、法第19条の2第1項第2号ロに掲げる課税価格(当該課税価格について通則法第118条第1項の規定による端数処理を行っている場合には、当該処理をする前の金額とする。)に相当する金額
- gは、被相続人の配偶者が相続又は遺贈により取得した財産の価額(法第19条の2第2項に規定する分割されていない財産の価額を除く。)のうち納税義務者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額と当該配偶者の債務及び葬式費用のうち当該納税義務者が行った隠ぺい仮装行為に係る金額との合計額(当該合計額が法第19条の2第1項第2号ロの金額の計算の基となった純資産価額に相当する金額を上回る場合には、当該純資産価額に相当する金額)
(分割の意義)
19の2−8 法第19条の2第2項に規定する「分割」とは、相続開始後において相続又は包括遺贈により取得した財産を現実に共同相続人又は包括受遺者に分属させることをいい、その分割の方法が現物分割、代償分割若しくは換価分割であるか、またその分割の手続が協議、調停若しくは審判による分割であるかを問わないのであるから留意する。
ただし、当初の分割により共同相続人又は包括受遺者に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、同項に規定する分割により取得したものとはならないのであるから留意する。(昭47直資2−130追加、昭50直資2−257、平6課資2−114改正)
(注) 「代償分割」とは、共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法をいい、「換価分割」とは、共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し、その換価代金を分割する方法をいうのであるから留意する。
(相続又は遺贈に関する訴え)
19の2−9 法施行令第4条の2第1項第1号及び第2号の規定による相続又は遺贈に関する訴え、和解、調停又は審判とは、当該相続に係る被相続人の財産又は債務、相続人の身分、遺言及び遺産分割に関する訴え、和解、調停又は審判のほか当該相続の前の相続に係るこれらの訴え、和解、調停又は審判をも含むのであるから留意する。(昭47直資2−130、昭50直資2−257、昭57直資2−177、平6課資2−114改正)
(申立ての時に訴えの提起がされたものとみなされるとき)
19の2−10 法施行令第4条の2第1項第1号に規定する「これらの申立ての時に訴えの提起がされたものとみなされるとき」とは、次に掲げる場合をいうのであるから留意する。(昭47直資2−130追加、昭50直資2−257、昭57直資2−177、平6課資2−114、平10課資2−242、平17課資2−4、平25課資2−10改正)
- (1) 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第275条第2項((訴え提起前の和解))の規定により、和解の申立てをした者がその申立てをした時に、その訴えを提起したものとみなされる場合
- (2) 家事事件手続法(平成23年法律第52号)第286条第6項((異議の申立て等))の規定により、調停の当事者が調停の申立ての時に、その訴えを提起したものとみなされる場合
- (3) 民事調停法(昭和26年法律第222号)第19条((調停不成立等の場合の訴の提起))の規定により、調停の申立者が調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなされる場合
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01.htm
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